「サムライブルーのユニフォーム統一に4年」北澤豪 障がい者サッカーへの思いと行動「給料を払えるまでサポートを」
北澤さん:ようやくここまでたどり着いたという感じですね。とはいえ、認知を高めてサッカー環境を整えるだけではダメだと思っているんです。障がい者サッカーの発展を目指す一方で、選手の経済的な自立もすごく大事。同時に考えていかなくてはいけません。彼らが生み出す価値を収益に変えて、それをサラリーとして支払うことができれば、選手も経済的に安定します。いま、企業のなかで障がい者の人と働く機会が増えており、対応を模索している企業も多いと思いますが、障がい者理解をするうえで、スポーツがいいツールになると考えているんです。
たとえば、障がい者スポーツの大会運営に関わったり、社員研修で障がい者の体験をしたりするプログラムを取り入れることで理解が深まりますし、どういう関わり方をすればいいか身をもってわかります。実際に企業から依頼を受けて教育プログラムを組み、ブラインドサッカーの選手を派遣する活動も行っているのですが、その収益が選手たちの給料にもなります。
■健常者を頂点とするスポーツのあり方を変えたい ── 選手たちの雇用を生み出すことにつながっているのですね。
北澤さん:ブラインド用の研修プログラムだけでなく、デフ(聴覚障がい)用など、いろんな障がいを対象にしたプログラムを準備しています。いまはまだ団体数が7つですが、発達障がいや小人症など、ほかにも障がいの種類はさまざまです。小人症に関しては世界大会も開催されていますが、日本にはまだチームがなく、トーナメントも組めないため日本代表も存在しません。いろんな障がいに対応できるように、どうやって広げていくかを検討しているところですね。
たとえば、いま健常者としてプレーしている子がある日、突然、事故や病気などで、障がい者になる可能性だってあるわけです。そうしたときに、夢や目標を失ってしまうのではなく、「キミのできるサッカーもあるよ」と背中を押してあげられる。あるいは、サッカーを「する側」から「支える側」になって、違うカタチで夢を追えるように受け皿を作る。時間はかかるけれど、やり始めなければ何も変わりません。まだまだやることはいっぱいありますね。