【箱根駅伝】往路は「100点満点」の中大、吉居駿恭と本間颯が区間賞、"5年生"園木大斗の姿に藤原正和監督「感慨深かった」
1月2日、3日に開催された第101回箱根駅伝で、歴代最多14度の優勝回数を誇る名門・中央大学が5位に入り、2年ぶりにシード権を獲得した。前回は上位進出が有力視されながら、大会直前に体調不良者が続出。総合13位と不本意な結果に終わった昨年の悔しさを糧に、今回は持ち前のスピードを発揮した。1996年の第72回大会以来となる総合優勝を目指す来年に向けて、収穫の多い大会となった。 【写真】1区で早々に集団を飛び出し、独走した吉居駿恭
独走の吉居駿恭「スローのまま行くのは嫌」
「今日は100点満点です」。往路を終えた後、藤原正和監督の口調は滑らかだった。「主導権を握ると、こんなにも駅伝は楽なのかと感じました」。チームは5区の途中までトップをひた走り、2位で芦ノ湖のフィニッシュテープを切った。 圧巻の走りで流れを作ったのが、吉居駿恭(3年、仙台育英)だ。前回は復路の7区で区間賞を獲得し、今回は兄の吉居大和(現・トヨタ自動車)が1時間00分40秒の区間記録を持つ1区を任された。 全体的にスローペースの出だしとなった中、吉居は早々に飛び出した。最初の1kmを2分46秒で通過。5kmを13分56秒で走り抜けると、8km付近ですでに2位集団と1分以上の差をつけた。その後も吉居のペースは変わらず、勝負どころとされる六郷橋の手前1kmあたりでややペースが落ちたものの、2位とは1分32秒差の独走で鶴見中継所に到着した。タイムは1時間01分07秒と兄の区間記録には及ばなかったものの、自身2度目の区間賞となった。 走り終えた後、吉居はこう振り返った。 「スローペースのまま行くのは嫌だったんです。前に出たら、誰も反応しなかったので、そのまま行ってしまおうと。レースプランとは違いましたが、兄の動画を見ていたのでイメージはできてました」 区間賞の裏には人間的な成長があった。ターニングポイントになったのが昨年11月の全日本大学駅伝だ。各校のエースが集まる7区を担ったが、区間14位と本来の力を出し切れなかった。そこで考えの甘さに気付いたという。「その後の2カ月はいい取り組みができました。『とにかく勝ちたい』と結果にこだわるようにしたところ、おのずと練習量も増え、意識も変わりました」