世界ランクで”圏外”に陥落で赤ランプ点灯…渋野日向子は東京五輪切符を勝ち取ることができるのか?
女子ゴルフの渋野日向子(22、サントリー)の東京五輪出場に赤ランプが灯った。3日付で更新された最新の世界ランキングで、前週から4ランクダウンの25位に後退。同じく前週から2ランクダウンしたが、24位をキープした2歳年下の古江彩佳(20、富士通)に逆転された。日本人トップが世界11位の畑岡奈紗(22、アビームコンサルティング)で、2番手が古江、渋野が今年初めて五輪圏外の3番手となった。 五輪出場権は、6月末の世界ランキングに基づく五輪ランキングの各国・地域の上位2人に与えられる。同15位以内であれば4選手まで出場できるが、代表決定まで残り2か月足らずとなった現状ではかなり厳しくなってきたと言わざるを得ない。 渋野は6月末まで米ツアーに挑戦中だが、再逆転に向けて調子が上向きかと言えばそうではない。今年初めて米国以外で行われた前週の「HSBC女子世界選手権」(シンガポール)は、4日間ともオーバーパーの通算11オーバーの67位で終戦。出場選手は、世界ランキング上位者、米ツアー優勝者ら69人の予選落ちのない大会だったが順位は4日間とも最下位から1つ上の“完全ブービー”の低空飛行だった。 屈辱の結果は、4日間トータルで61.11%と低調だったパーオン率の低さに尽きる。「ほかの選手と比べてバーディーが少ない。ロングでバーディーを取るためにも100ヤード前後のショットの精度を高めたい」と課題にしていたパー5で奪ったバーディーはわずか2個だけ。パーオンを逃した初日の8番(パー5)はアプローチをミスするなどダブルボギーを打ち、「一番叩いちゃいけないところ。すごく悔しかった」と唇をかんだ。「自分のやりたいことを最後までやり通せるように頑張りたい」と2日目以降の奮起を誓ったが、一度狂った歯車が最後までかみ合うことはなかった。
「技術面も、メンタル面も成長できたらいいなと思う。テレビを通じて、しっかり結果を見せたい」 3月の「アクサレディス」を15位で終え、笑顔でそう話して渡米した。 最初の海外メジャーとなった「ANAインスピレーション」(米カリフォルニア州)では、初日はイーブンバーでスタートしたが、通算2オーバーの72位タイで予選落ちした。続く「ロッテ選手権」(米ハワイ)では、33位と盛り返したが、第3戦の「HSBC女子世界選手権」が67位である。 来年に計画している米ツアーの本格参戦を見据えての長期の海外遠征だった。今季から米ツアーは、翌年の出場権に関して新たなポイント制を導入した。米ツアーのメンバー外の渋野でも今季のポイント合計がメンバー外の40位以内に入れば、出場権が与えられるのだ。 「ポイントを稼げば、来年のツアーに出られる。そういう意味では五輪は通過点」 渡米前には「通過点」と表現した五輪だが、米ツアーで苦戦しているうちに状況は一変してきた。今年の国内ツアーで9戦4勝の稲見萌寧(21、都築電気)は世界ランキング32位に急上昇。3番手の座すら怪しくなってきた。 さらに代表を争う古江、稲見らライバルたちと比べて渋野が決定的に不利な点もある。世界ランキングは直近の2年間の成績が反映されるが、国内ツアー初優勝をメジャーで飾った2019年5月の「ワールドレディス選手権サロンパス杯」で稼いだポイントも6月末までの代表決定までには消失する。世界を驚かせた優勝で一気に100ポイントを獲得した同年8月の「AIG全英女子オープン」のポイントも目減りしており、限りなく「0」に近づいている。 ポイント配分の高い米ツアーで結果を残せれば、順位も大きく上がるが、その逆もしかり。国内でコツコツとポイントを稼いでいる古江との差は、さらに開いていく可能性もある。 渋野の次戦は主催者推薦で出場する6日に開幕の「ホンダLPGAタイランド」(タイ)。同じ週に国内では「サロンパス杯」が開催される。渋野がタイでも苦戦を強いられ、国内メジャーで、古江、稲見らが優勝すれば、五輪はさらに遠のいていく。