シーズン最後のレースでクリストフ・ラポルトがシーズン最初の歓喜をつかみ取る!【Cycle*2024 パリ~トゥール:レビュー】
2人だけになったラポルトとヴァチェクは、しばらくは協力し合い、黙々とフィニッシュへと突き進んだ。きっちり先頭交代を続け、後続には常に30秒前後のリードを保った。 ところが、いよいよトゥールの市街地へと滑り込み、フィニッシュまで2kmに迫ったところで、ふと、ラポルトが2番手に下がる。そして、もう2度と、前を引かなくなった。10歳年下の敵が、何度後ろを振り返っても、絶対に先頭には出なかった。それでも若者らしい真っ直ぐさで、ヴァチェクは決してペダルを踏む脚を緩めない。一方で2位に入った2022年世界選でも、銅メダルを手に入れた2024年パリ五輪でも、「自分が何位なのか分からない」状態ながら全力でスプリントした31歳は、この日ばかりは老獪な駆け引きを押し通した。
「(2022年)ヘント~ウェヴェルヘムは、こういったフィニッシュでしてやられた。あの時、前にいたのは3人で、加速するタイミングを待っているうちに、先にギルマイにスプリントを切られて、そのまま勝利をさらわれてしまった。だから今日こそは、僕が先に加速をしたかったんだ」(ラポルト)
伝統のロングストレート、グラモン通りに入っても、ラポルトは頑なに意志を貫いた。ついには心に決めていた通り、自分のタイミングで加速を打った。初めてエースとして参戦したミラノ~サンレモは体調不良で自転車を降り、初出場ジロは落車リタイアを余儀なくされ、苦しみもがいたシーズン最後のレースで、シーズン最初の歓喜をつかみ取った。
「勝てるなんて、期待さえしていなかった。去年の欧州選手権以来、勝利から遠ざかっていた。……ヨーロッパチャンピオンジャージ姿で残念ながら勝つことはできなかった。簡単な1年ではなかった」(ラポルト)
ブエルタ初日2位に続き、第7ステージでも集団スプリントで2位に食い込んだヴァチェクは、一騎打ちには敗れたものの、ワンデークラシックで初めての表彰台乗りを果たした。「またしても2位で、もちろん少しがっかりしているけれど、同時に来シーズンに向けた自信にもなる」と、今季の大躍進にたしかな手ごたえを得た。
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