「搾れば搾るほど赤字」円安で牛乳ピンチ 酪農家たちが探る飼料国産化への道 #生活危機
「本州の温暖な地域では、自給飼料の生産量を増やし、輸入飼料の依存度を減らす取り組みもされています。『輸入穀物=濃厚飼料』が手に入らなくなれば、1頭あたりの乳量は減りますが、国産の粗飼料が増えることで経費が減り、結果的に酪農家の収入は増え、経営は安定するはずです。今回の危機を契機に、持続的な酪農に転換していくことが必要ですし、そのような方向に導くために国の支援も必要です」 2022年10月10日には、岸田文雄首相も鹿児島県を訪問した際、国産飼料の供給拡大を後押しする支援制度の創設を明らかにした。飼料米だけでなく、飼料用トウモロコシの生産も伸びつつあるなか、国は2030年度に粗飼料の100%国産化を目指す。この危機を転機にして日本の酪農は持続可能なものに変わっていけるだろうか。
---- 荒舩良孝(あらふね・よしたか) 1973年、埼玉県生まれ。科学ライター/ジャーナリスト。科学の研究現場から科学と社会の関わりまで幅広く取材し、現代生活になくてはならない存在となった科学について、深く掘り下げて伝えている。おもな著書に『生き物がいるかもしれない星の図鑑』『重力波発見の物語』『宇宙と生命 最前線の「すごい!」話』など