「罪悪感を感じる必要なし!」就業率7割近くのフランスの女性が育児において絶対に“しないこと”
フランスに仮面夫婦はなし?
「でも、フランスのほうが日本より離婚率が高いんじゃないの?」 そのような声が聞こえてきそうです。統計局の「世界の統計2020」によると、フランスの離婚率は人口1000人あたり1.9件。日本の1.7件に比べてわずかに多いようです。 ただし、これはフランス独自のPACS(パックス)というパートナー制度を選んでいるカップルも多いので、日本とそのまま比較するのが難しいのが実情です。PACSとは、もともとは同性カップルのために作られた「内縁以上、結婚未満」な民事連帯契約です。PACSでは、税制や相続では法律上の結婚とほぼ同等の権利が認められているのにもかかわらず、別れる場合は結婚ほど手続きが煩雑でないことから、今では多くの異性カップルも利用しています。 フランスで生まれる子どもの半分以上は「婚外子」といわれていますが、PACSカップルから生まれる子どもも「婚外子」に入ります。PACSカップルは今ではそれくらい多いのですね。話はさらにそれますが、フランスの家庭は、日本ほど一律ではありません。 夫の親族をみても、再婚して連れ子同士だったり、PACSだったり、同性同士のカップルだったりとバラエティに富んでいます。そのように形が柔軟であるからこそ、大人のパートナー同士の人間関係を大切にするのかもしれませんね。 結婚やPACSを申請してパートナーとなり子どもを育てていても、お互いの関係が壊れたら、日本の家庭のように子どものために「パパ」「ママ」を続ける、そのようなことがあまり考えられないのかもしれません。
仕事も家事も育児も完璧にしなくていい
日本では良妻賢母という言葉がありますが、昔は専業主婦であった女性が目指すべき姿として使われてきました。しかし現代でもこの言葉がひとり歩きをしており、今のママたちをより一層苦しめています。 なぜなら、現在はひと昔前の専業主婦が多かった時代と逆転して圧倒的に働いているママのほうが多いからです。しかも悲しいことに働くタスクが増えたにもかかわらず、子育ても家事も昔と変わらずいまだにママの役目として多くを求められています。 この多くのタスクを日々こなすだけでも大変なことなのに、さらに追い打ちをかけるように、「完璧」を第三者から求められたり、「完璧でなければいけない」と良妻賢母を無意識に目指しているママたちも多いと思われます。ましてや現代は核家族も多く、簡単に周りのサポートも受けられない中で、良妻賢母を目指すなどはっきり言って無理です。 では、女性の就業率が68.2%(2018年度)のフランスはどうでしょうか。まず、彼女たちは本当に無理をしませんし、頑張りすぎません。何事も「手抜きをしない」ことが美徳とされる日本と違い、フランス人は手抜きができるところは極力手を抜いてもかまわないとの考えで、限界まで疲れをためないことが大事とされています。 自分を大切にし、無理をしない。 そうすることで、結果的に家族に対しても笑顔でいられ、仕事への意欲も損なわずにいられるのではないかと感じます。 次回は、「パパ」「ママ」ではない時間・空間を作ることの大切さ、時には育児よりも自分のやりたいことを優先してもいいんだよ、ということをお話ししたいと思います。