パウエル議長のタカ派転換始まったばかり-6万件のヘッドライン示す
(ブルームバーグ): 言葉には力がある。米経済にとって最もそれが当てはまるのはパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言だ。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)の「Fedspeak指数」によれば、パウエル議長が昨年12月に利下げに向けた急転換の可能性を示唆したことで、金融市場で相場上昇をもたらし、米経済をリセッション(景気後退)入りから救った。
同指数は連邦公開市場委員会(FOMC)参加者の記者会見や講演などでの発言を報じたブルームバーグ・ニュースの6万件余りのヘッドラインを基に、自然言語処理(NLP)アルゴリズムで算出したものだ。当局のコミュニケーションのセンチメントを数値化する。
リセッション回避は良いが、それには落とし穴があった。パウエル議長のハト派的転換から約4カ月が経過し、需要は力強く推移してインフレ率は当局目標を上回ったままで、議長はタカ派姿勢への反転を余儀なくされている。
パウエル議長は4月16日のパネル討論会で、「景気抑制的な金融政策が作用する時間をさらに与えるのが適切となるだろう」と述べ、利下げの可能性はさらに先送りされた。
パウエルFRB議長、利下げ開始の先延ばし示唆-インフレ根強く
これは正しい方向の動きだが、議長の12月のハト派転換でもたらされた景気刺激効果の一部が取り消されたのに過ぎないことがFedspeak指数から分かる。インフレ抑制には一段の取り組みを要するというわけだ。
このためBEでは、5月1日まで2日間の日程で開催されるFOMC会合で一段とタカ派的な文言が用いられ、このところの債券利回り上昇を後押しする可能性もあると見込んでいる。
景気堅調の説明
1年前のBEの見解や市場のコンセンサスは、インフレ抑制にはリセッションの代償が伴い、それは2023年末前に始まる可能性があるというものだった。だが、実際の展開は違った。
23年下期(7-12月)の米経済は力強い成長となり、今年1-3月(第1四半期)の実質GDP(国内総生産)伸び率は予想を下回ったものの、引き続き景気堅調を示す内容となった。