東京都立高校の4分の1が定員割れ。授業料の実質無償化で私立or都立のどちらを選ぶべき?
2023年12月、東京都は私立高校の授業料支援に関する所得制限を2024年度から撤廃すると発表し、大きな話題となりました。この所得制限の撤廃が高校受験にどんな影響を与えたのか、2024年から段階的に授業料無償化を進めている大阪府と比較しながら詳しく解説します。(寺田拓司:東京個別指導学院 進路指導担当)※東京都の「私立高等学校等授業料軽減助成金」は都内私立高校平均授業料相当額(484,000円)を上限に支援するもの。2023度までは世帯年収約910万円未満の世帯が対象であった。 【年別】都立全日制高校の定員割れ校数と割合を見てみる
東京都立高校の定員割れは前年並み……定員割れは下げ止まったのか?
「都立そっくりもぎ(Vもぎ)」を運営する株式会社 進学研究会提供によるデータを見てみますと、2024年度入試では、東京都立全日制高校の25.4%が定員割れしています。これは前年と同じ比率であり、2022年度の29.3%をピークに3.9ポイント減少しています。都立高校の定員割れは下げ止まったのでしょうか? 実は、この数字にはカラクリがあります。東京都の場合、都と私立高校側との協議(公私連絡協議会)の上で、都立と私立の募集人員を毎年決めているのですが、2021年以降の公立中学校3年生(卒業見込み数)は増加傾向にもかかわらず、公立中学校3年生数に占める都立全日制募集人員の割合を減らしています。特に、2023年度から2024年度にかけては、公立中学校3年生が416人増加したにもかかわらず、都立全日制高校の募集人員を395人も削減しているのです。 もし、公立中学校3年生の増加数に応じて、2023年度並みの募集定員率(52.8%)の募集をしていれば、2023年度よりも615人の募集定員増となり、定員割れした都立高校の割合はもっと増えていた可能性があります。 2025年度入試では、都内公立中学3年生が昨年よりも206人減少、高校進学者200人減少と予想されています。そんな中、都立高校全日制課程の募集数を320人削減する発表が東京都教育委員会からありました※。つまり、高校受験生減少分よりも多く、都立高校全日制課程の募集人員を減らすことになります。こうなると志願倍率は低下しにくくなり、定員割れ校数の割合も増加しにくくなると言えるでしょう。 ※「令和7年度東京都立高等学校等の第一学年生徒の募集人員等について」