東京都立高校の4分の1が定員割れ。授業料の実質無償化で私立or都立のどちらを選ぶべき?
東京都でも都立志向は低下している
東京都立高等学校入学者選抜には、大まかには「➀推薦に基づく選抜」と「➁学力検査に基づく選抜、いわゆる一般入試」があります。➀で合格した場合は、辞退せずそのまま入学となります。➁には、➀の不合格者や➁のみ受験する受験生もいます。 「➀推薦に基づく選抜」での合格者と「➁一般入試」の受験者数の和を、都内公立中学3年生の在籍数で割った数値を「都立志向率」といい、これが公立中3生の何%が都立高校に入学したいかを示す数値となります。この都立志向率の推移を見てみると、以下のようになります。 都立志向率は社会情勢の影響を大きく受けます。東京都では「私立高等学校等授業料軽減助成金事業」を大きく拡充したことを受け、2018年度入試の都立志向率は70.0%から67.2%と2.8ポイントも減少しました。大阪府内私立高校の専願率は、2023年度の28.65%から2024年度の31.64%へと2.99ポイント増加していますが、これは東京都の2.8ポイントと近い数字だと思います。 新型コロナウイルス感染症の流行で休校や試験範囲の削減などがあった2021年度入試では、受験生家庭の「早めに進学先を決めたい」というマインドや、私立高校の対応の早さや柔軟さへの評価などが反映され、都立志向率は1.7ポイント低下しました。 経済的な面を主な理由として都立高校と考えていた家庭の一部が、就学支援制度の拡充により、私立高校を進学先のメインに考えるようになった動きの表れではないでしょうか。 もし仮に小池都知事の発表が12月ではなく、大阪府と同時期の8月であれば、2024年度の都立志向率はもっと下がっていたのではないかと個人的には見ています。東京私立中学高校協会会長の近藤彰郎会長は、「学費の壁がなければ、生徒や保護者は教育の中身を重視して学校を選ぶだろう」と話されました。教育の内容をアップデートしている学校ほど選ばれるはずだと、私立高校の先生方は思っていることでしょう。