東京都立高校の4分の1が定員割れ。授業料の実質無償化で私立or都立のどちらを選ぶべき?
東京都内の子どもも減っていく
「令和5年度 教育人口等推計報告書」によると、都内公立中学校3年生の生徒数は、2029年度まではおおむね横ばい・微増傾向で推移しますが、2030年度以降は大きく減少に転じる見込みとなっています。神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県などの大都市を抱える府県では、公立高校の統廃合計画が進んでいます。東京都も2030年度以降の減少が確実ですから、いずれ本格的に都立高校の統廃合計画を策定するのではないでしょうか。 あくまでも個人的な見解ですが、東京都や大阪府といった私立高校が多く設置されている都道府県では、「長期的には公立高校を大幅に減らし、私立高校に通う生徒を増やしたい」という民間委託の割合増の意図があるのではないかと思っています。東京都の場合、2036年度には現在よりも約1万3,000人の公立中学3年生が減るのです。とても現在の学校数を維持できないでしょう。 東京都側でも入試教科数の各校での設定、学力検査点と調査書点比率の変更など、都立高校を受験しやすくする制度変更の内部検討が行われています。私立高校の場合は他県からも生徒を集めることができますが、都立高校は現時点では原則として都内在住者から生徒を募集しなければならないのです。さらに、通信制高校という新たなライバルも増加しています。 少子化の中、定員割れしている公立高校を何校も維持・管理していくのは、財政的に限界があると思います。さらに、定員割れが著しいと、1クラスに在籍する生徒の学力差が拡大する問題や、部活動を維持できない(例えばサッカー部に11人集まらない)といった問題が出てきます。 東京都は2018年度、当時の都内私立高校授業料の平均額である44万9,000円まで支援する対象を「年収760万円未満の世帯」まで引き上げ、当時は大きく報道されました。それが2024年には所得制限を撤廃したのですから、わずか6年間で急速に私立高校生への就学支援を拡充したことになります。都立高校を将来的には減らしていこうという動きではないかと、私自身は勘繰ってしまいます。