地質年代の探求II:地球誕生“紀元前4千年” 聖書裏付け研究が真実導く皮肉
ミケランジェロの地球史観(とあえてここでは呼ばせていただく)は、旧約聖書の創世記(第一章6―13)にもとづく。地球はまず(神によって)(1)空と水に分けられた。そして(2)水が集合し乾いた地の出現、(3)大地(陸地)と海の誕生、(4)草や果樹(木)の出現、と続く。全ては第2日目から3日目の朝にかけて起きた。ミケランジェロは、この一連の神が、地球誕生における命令を下している様子を描いているとされる。冒頭にあるイメージを、今一度見ていただきたい。そして中央の白いあアゴひげを生やした神は、この一連のプロセスに夢中になっているようにもみえる。(こうしたイメージは科学者にとっては思いもつかない発想だろうが、いろいろな意味で興味深い。)
一化石研究者からみて、聖書における一連の記述は非常に興味深い。先ず液体としての水(H2O)が、この地球に存在し、やがて海が誕生した。同時に陸地も太古の地球環境に現れた。このようなプロセスを経て生物が誕生した。この一連の過程は、地質学の教科書において見られる「地球誕生」の記述と、大まかに似ていなくもないからだ。 初期の地質学者や物理学者は、この聖書における地球の歴史観をサポートするための証拠集めからはじまった。しかしその過程において、「地球46億年の歴史」へとたどり着いたのは、なんとも皮肉といえる。 聖書の教える「紀元前4004年」に起きたとされる地球と生物誕生の年代。しかし「どうもつじつまが合わない」「地球はもっと古いのではないのか?」こうした問いかけが、多数の科学者によって噴き出されはじめた。そして、より長大な地球の歴史(後に「Deep Time」と名づけられた)に関する証拠集めが、地質学者によって真剣に行われはじめることになる。 さて具体的にどのようにして「地球・生物6000年の歴史」という常識を、地質学者・古生物学者は打ち破ったのだろうか?以下にその流れを紹介してみたい。 注(筆者ノート):ミケランジェロの絵画における情報は「壺齋散人の美術批評」を参照した。()