恐竜を絶滅させた巨大隕石の謎 最先端研究の“答え合わせ”はこれから
子どもたちが恐竜絶滅の謎を推論
論文発表翌日の11月19日。論文著者の一人である山口准教授を招いて開催されたのが、冒頭のサイエンスカフェです。さいたま市立高砂小学校の理科室で、研究者が今も探求している謎に子どもたちが挑みました。 主催は、NPO法人センス・オブ・ワンダー。頭の中に既にある知識を活かしながら、研究者のように科学的にものごとを考えてもらうアクティビティを子どもたちに提供し、科学の面白さを感じてもらいたいと活動をしている団体です。
まず登場したのは4.6メートルの巻物。写真左から右に向かって、46億年前の地球誕生から今日に至るまでの地質年代が書かれています。10センチが1億年に相当します。 「恐竜が生きていた時代はこの辺り」という右端のほうを指す山口先生。46億年のタイムスケールで見ると現在に近い話であることに、子どもたちからは「えー!」という声が。
46億年のタイムスケールから見れば最近であっても、現代に生きる私たちが6550万年前の出来事を調べるのは至難の業。国際研究プロジェクトチームのように海底に埋まったクレーターを掘削して調べます。サイエンスカフェでは、実際の掘削方法の模擬実験として、さまざまな色が層状に重なり合った粘土にストローをさしてくり抜く実験をしました。くり抜く前は中が見えませんが、ストローでくりぬいた粘土を見ると、何色の粘土がどんな順番で重なっているのかが分かります。
その後、小学校の玄関に移動して行ったのは隕石衝突の実験。ビー玉をアルミホイルで包んだ銀のボールを力いっぱい土に向かって投げ、クレーターを作ります。投げる強さや角度によって、クレーターの形や砂の飛び上がり方が変わります。ここから隕石衝突の様子を解き明かすのです。
理科室に戻った後は、いよいよ「隕石衝突によってなぜ恐竜が絶滅したのか」への答えとなる論理的なストーリーの組み立てです。「恐竜は隕石で絶滅した」と知っていても、その過程は複雑。隕石が衝突した場所だけでなく、地球上すべての恐竜が絶滅したのはなぜなのか、子どもたちの自由な発想でストーリー作りをしてもらいます。