高階秀爾さんが92歳で死去。美術史家、美術館人、教育者として60年以上美術界を牽引し、東京大学教授や国立西洋美術館館長などを歴任
60年以上にわたって美術界を牽引
美術史学者、美術評論家の高階秀爾(たかしな・しゅうじ)さんが10月17日、心不全で死去した。享年92。 高階さんは1932年東京生まれ。東京大学卒。同大学院在学中の54年、フランス政府招聘給費留学生として渡仏し、パリ大学付属美術研究所とルーヴル学院で西洋近代美術史を専攻。帰国後の59年から国立西洋美術館勤務、後に主任研究官。東京大学文学部助教授を経て、79年より教授(92年退官し、名誉教授)。97年パリ第一大学名誉教授。 1992~2000年国立西洋美術館館長を務め、2002年に大原美術館の第4代館長に就任。現館長の三浦篤氏(美術史家、東大名誉教授)に交代するまでの21年間、教育普及や地元活性化にも貢献する同館のミュージアム活動を牽引。2024年春に新設された大原芸術研究所(岡山県倉敷市)所長に就任し、大原美術館と倉敷考古館の運営を行った。 2020~23年には国の栄誉機関である日本芸術院の院長を務め、2001年にフランスの栄典であるレジオン・ドヌール・シュヴァリエ勲章、2012年文化勲章を受章。 主な著書に『ルネッサンスの光と闇―芸術と精神風土』(上下、中公文庫)、『20世紀芸術』(ちくま学芸文庫)、『増補 日本美術を見る眼』(岩波現代文庫)、『日本人にとって美しさとは何か』(筑摩書房)、『ニッポン・アートの躍動』(講談社)などがある。今年1月には評伝『エラスムス 闘う人文主義者』(筑摩選書)を刊行し、Tokyo Art Beatでは同著や大原芸術研究所の理念や近況について聞くインタビューも行った。 葬儀は家族で営んだ。
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