いったい何が ブランド の復活を成功させるのか?革新性と従業員の賛同を再び得るための戦略
革新性の再生と従業員の賛同が鍵
たとえば、かつてはその革新性で知られ、愛されていたブランドが、その成功に甘んじていたとしよう。そのような場合、そのブランドがやるべきは、これを正して、その革新性に再び命を吹き込むことだ。愛される理由や抱える課題はブランドによって異なる。当然、復活への道のりもブランドによって異なる。 イノベーションコンサルタント企業、サイベリア(Siberia)のマネージングパートナー、クリス・メレ氏は、「もちろん、オーディエンスや顧客がどのような層なのかを正しく把握しなければならない。それだけでなく、自社のコアプロダクト、コアサービスと、ブランドとしてのアイデンティティ、ブランドとしての信念も、しっかりと一致していなければならない」と語る。 そうしないかぎり、問題箇所の「穴をふさいで、応急処置をしているだけ」であり、「一時的な改善は見られるかもしれない」が、それでいつまでも持ち堪えられるわけではないと、同氏は付け加える。 復活劇の構想を練らなければならないところにまでブランドを追い込んだ原因は、いったい何なのか? その特定が終わったら、次のステップは、かつての地位へ返り咲くための戦略の実行だ。つまり、ブランドの名を世に知らしめたのが革新性なら、それを生き返らせることである。しかし、それだけでは十分ではない。 従業員と社内文化に力を与えることも必要だ。従業員がブランドにとって第一の伝道者であるケースは多いと、今回取材した幹部たちは述べる。従業員の賛同を再び得るための方法を見つけることは、復活が正しい方向へ進んでいるというサインであるという。 ランドー(Landor)でインサイトおよびアナリティクス担当エグゼクティブディレクターを務めるアンソニー・リバ氏は、「従業員は毎日、そのブランドを生き、呼吸している。復活の前も、途中も、その後も、この道のりをたどってきたのが彼らだ」と話す。 復活に関する賛同を従業員から得ることは、その復活を外の世界へ伝える最初のステップになり得るという。ブランドは「問題を無理やり解決しようとしている」わけではない。ブランドは「従業員が実際にブランドを現実世界に送り出せるようにしようとしている」のだ。 復活劇を必要とするところにまでブランドを追い込んだ、そもそもの問題。それへの対処を左右するのは、その問題そのものだ。首脳陣の入れ替えが必要な場合、ブランドがいまのトレンドに即したサービスの再活性化が必要な場合、新たなオーディエンスの発見が必要な場合、こうした問題のどれにも、やり方を変えて対処することになる。復活劇のタイムラインを決めるのは、その問題と、その問題の深刻さだ。だが、その問題への対処が完了すれば、鍵となるのは、必要な変化をブランドが遂げたことを消費者にはっきりと伝えることである。