しゃぶしゃぶ業界に地殻変動 「しゃぶ葉」が「温野菜」を追い抜いた納得の理由
「しゃぶしゃぶ温野菜」の不調が続いている。2016年時点で国内に400店舗弱を運営し、しゃぶしゃぶ業界でトップの座についていたが、コロナ禍で店舗数を縮小。11月21日現在では216店舗となっている。 【画像】「しゃぶ葉」と「温野菜」は何が違う? 温野菜の食べ放題コースの価格や60種類以上のおかわり自由商品、しゃぶ葉の食べ放題コースの価格や内容、自分で取りに行くサラダや寿司、子ども向けメニュー(全9枚) 一方、すかいらーくホールディングス(HD)が運営する「しゃぶ葉」は2018年に200店舗を達成。近年も出店を続け、10月末時点で295店舗を展開する。コロナ禍で業界内の順位が入れ替わった形だが、両者の明暗はなぜ分かれたのか。メニューやシステムから違いを考察する。
2007年オープン、後発組のしゃぶ葉が業界トップに
しゃぶしゃぶ温野菜は、コロワイド傘下のレインズインターナショナルが運営する、しゃぶしゃぶ食べ放題店だ。同社は牛角の運営企業としても知られる。しゃぶしゃぶ温野菜の1号店を2000年に開店したところ、当時しゃぶしゃぶ食べ放題が珍しく、全国に勢力を伸ばしていった。対するしゃぶ葉は2007年に1号店をオープンし、後発としてゆっくり勢力を伸ばした。 現時点におけるしゃぶしゃぶ業態の店舗数ランキングは次の通りだ(各社10月末時点。温野菜は11月現在、どん亭は8月1日時点)。なお木曽路はすき焼きを提供するほか、食べ放題は一部店舗に限られるため、他4チェーンとやや異なる点を補足しておく。 1位 しゃぶ葉(295店舗、10月末時点) 2位 しゃぶしゃぶ温野菜(216店舗、11月21日時点) 3位 木曽路(126店舗、10月末時点) 4位 ゆず庵(98店舗、10月時点) 5位 しゃぶしゃぶどん亭(31店舗、8月1日時点) 今や業界2位に甘んじているしゃぶしゃぶ温野菜だが、もともと業界トップだったこともあり、知名度はしゃぶ葉よりも高いと思われる。両者の順位が入れ替わったのは2020~21年ごろ。レインズインターナショナルは、しゃぶしゃぶ温野菜事業の単体業績を公開していないため詳細は不明だ。
大きな違いは「価格帯」
業界1位、2位の両チェーンは似ているようで違いが大きい。まずはしゃぶしゃぶ温野菜のメニューを見てみよう。基本となるディナーの「温野菜コース」は3828円で、2種類のだしを選べる。肉は牛・豚・鶏から全11種類を提供する。野菜のほか、米や中華麺、うどんなどの炭水化物も食べ放題に含む。 上位コースの「たんしゃぶコース」は肉12種類で4158円。さらに高いコースもあり、最も高価な「霜降り黒毛和牛コース」は1人前で6578円だ。それぞれのコースで、デザートは最後に1人1品注文可能となっており、ドリンクバーやアルコールの飲み放題は別料金としている。