「AIを活用した新たな業務支援サービスを12月中に開始、地銀の顧客データを分析し営業を効率化」…りそなホールディングス・南昌宏社長
りそなホールディングスは、人工知能(AI)を活用して地方銀行などの業務を支援する新しいサービスの提案を始める。金利のある世界での経営戦略や中小、中堅企業の支援策について、南昌宏社長に話を聞いた。(聞き手・岡田俊一)
手数料の収益が拡充
――中期経営計画の折り返しにある。さらに力を入れる事業領域について。
「9月中間決算はかなり堅調だった。当社が双発と呼んでいる二つのエンジンが同時に動き出した。一つは資金利益。貸出金が前年同期より増えた。金利のある世界が戻ったからだが、顧客の資金需要が多様化しており、コンサルティング型対応でしっかりとサービスを提供できている。
もう一つは、マイナス金利下でやってきた中長期的な収益構造改革。簡単に言えば、手数料の収益が拡充している。資産運用や決算関連も伸びており、種を植えたものが育ってきた。リアルとデジタルが融合するような手数料収益が原動力になっている」
「金利のある世界が到来し、顧客にとっては大きな変化が起きている。コロナ禍からの経済正常化で、緩やかなインフレ(物価上昇)が前提になり、運転資金の需要が増えた。円安や資源、原材料高、労働需給の逼迫。こうしたものが波及し、顧客の困りごとに対するニーズが変わってきた。
デジタルシフトが進み、DX(デジタルトランスフォーメーション)関係の生産性向上に向けた動きや脱炭素の話だとか、ニーズが多様化、高度化している。コンサル型で磨きをかけた強みと、当社がリスクを取れるようになった状況が重なっている。今後も金利が少しずつ上がっていくという前提に立てば、資金利益については力を入れたい。
手数料収益の確保は、かなりできあがってきたが、満足することなく次の手を打ち続けることが大事だと思う。自分たちの業務プロセスにAIを組み入れるなど、生産性を上げる努力は惜しまない。
資本の活用という点では、(外部資源を活用する)インオーガニックの部分をどうやって収益源にするか。政策保有株の売却益もある中、資本をどう配分して次世代のリテール金融で勝ち抜く戦略のために活用できるかという点は大事だと思う」