「AIを活用した新たな業務支援サービスを12月中に開始、地銀の顧客データを分析し営業を効率化」…りそなホールディングス・南昌宏社長
地域金融も投資余力は拡大
――地域金融機関の事業環境も変わってきた。
「地域金融機関の決算も堅調とみられ、投資余力は拡大している。当社が提供する金融デジタルプラットフォームを使った地銀向けの商品やサービスを使ってもらう機会は増えるはずだ。
当社は、12月中に人工知能(AI)を活用した新たな業務支援サービス『データイグニッション』の提供を始める。地銀が持っている預金などの顧客データをAIで分析すると、住宅ローンや外貨預金といった商品ごとに成約率の高さを数値化して提示する仕組みで、顧客営業が効率化できる」
――他行向けの金融デジタルビジネスを拡充する狙いは。
「デジタルは新しい収益機会を作り出し、顧客基盤の広がりとトランザクションの拡大につながる。人間が1対1で対応するには物理的な制約があるが、デジタルは顧客基盤が広がっても対応できる。地銀や異業種、地方自治体にサービスを供給できれば、ビジネスは地域や法人格を超えて大きく広がっていく。デジタル化時代にマッチした新しいタイプの価値提供だと考えている。
一方で、金融が持っている深いコンサルティング能力や機能は、人が担わなくてはならない場面もある。法人ならば、経営戦略や事業戦略の立案、資産や事業の次世代への移転などは、個別の解決策を対面で提供していく必要がある。
日常はデジタルでつながりながら、大切な場面はしっかりと対面で対応するというリアルとデジタルの融合が次世代のリテール金融にとって大事な要素だ」
――インオーガニック戦略についてはどのように考えているのか。
「銀行グループが持っているこれまでの知見やノウハウ、スキルでは、顧客の多様化したニーズにタイムリーに対応することが難しくなっている。その都度、どこと組むのが良いのかという観点で探し続けることが基本だと考えている。自分たちとの親和性、競争力など様々な観点から幅広く考えていきたい」
――住宅ローンの戦略は。