「夢のような競泳人生だった」東京五輪二冠 競泳・大橋悠依が現役引退 最後のレースは「心の底から楽しんだ」
◇競泳・国民スポーツ大会 初日(14日、SAGAサンライズパーク・SAGAアクア) 【画像】競技中の競泳・大橋悠依選手 東京オリンピック女子個人メドレー(400m、200m)で二冠を達成し、パリオリンピックでも200m個人メドレーで日本代表として活躍した大橋悠依選手(28=イトマン東進/滋賀県)が現役最後のレースに臨みました。 大橋選手は2021年、東京オリンピックで日本女子史上初の個人メドレー二冠を達成。シンデレラガールとして一躍脚光を浴びました。 この日の朝に行われた予選後に「(今大会が)この20年間くらいの競技生活としての最後」とコメントし、現役引退を表明した大橋選手。「あと1本、出せる力を全部出し切りたい」と意気込んだ決勝のレースでは、「地元の滋賀県が大好きだから最後のレースとして滋賀県代表というこの大会を選んだ」と語る大橋選手は笑顔で声援に応えながら入場しました。 最初の50m、バタフライを2位で折り返すと、得意の背泳ぎで1位にたちます。しかし、大橋選手と共にこの種目でパリオリンピックに出場した松本信歩選手にラスト100mで追い上げられ、松本選手が2分10秒51のタイムで優勝。大橋選手は2分12秒03で2位に入り、レース後には松本選手と笑顔で握手を交わしました。 試合後の取材に応じた大橋選手は「"これが最後"と思って行くレースはすごく難しいな」とコメント。世界でメダルを獲ってからはレースを楽しむということがなかなかできなかったという大橋選手。「今日のレースでは心の底から楽しんで泳ぐことができて、最後としては良いレースだった」と涙ながらに語りました。 松本選手や成田実生選手をはじめとする後輩については、「(自身が)長く個人メドレーを引っ張ってきたと思っていますし、だからこそどんどん自分の記録を超えていってもらえるような日本の水泳界になってほしい」と将来に期待を寄せました。 東京オリンピック後、現役を辞めた方が良いと思うこともあったという大橋選手は「なんとかして続けた意味を見つけたいと思っていましたし、振り返ってきた時に東京で金を獲ったことが自分の強さにも弱さにもなる瞬間があった」とコメント。しかし“魔物”が潜むとも表現される誰もが怖さを感じるオリンピックの舞台で、冷静かつ強気に挑み、二冠を達成できたということがこの3年間の支えになったと言います。 笑顔で声援に応えながら引退レースを終えた大橋選手でしたが、約20年間の現役生活を思い出すかのように時折涙を見せながら取材に応じました。 今後は所属のイトマン東進に残り、選手育成のサポートに回るという大橋選手。さらに、栄養学の勉強をするべく大学院への受験も考えているそう。「日本の競泳界の立て直しに関わっていけたら」とコメントし、引退後も未来の競泳界に新たな刺激を与える存在となりそうです。