【大学トレンド】「リケジョ」を増やす、大学の取り組みは? 合宿、思考体験、サイエンスひめこ…
理工系学部への女子の入学者を増やすため、各大学はさまざまな取り組みを行っています。その一つが女子中高生に対して、理工系分野への興味・関心を喚起する活動です。イベントの開催や研修の受け入れなど、具体的な活動内容を紹介します。 【写真】「女の子は地元でいい」とあきらめないで 慶應女子大生が地方女子のためにシェアハウス運営
理工系分野で活躍する女性を増やすためには、小中高生のときから理工系分野に興味を抱くような機会を設けることが不可欠です。そのため、大学もさまざまな取り組みを行っています。 筑波大学は、中高生の理工系進学応援プログラムとして、「夏季リケジョサイエンス合宿」を実施していました。女子中高生100人を対象にした2 泊 3 日の合宿です。最先端の科学実験を体験できる「サイエンス実験体験」や、女性研究者と直接話せる「ラウンドテーブル」、先輩女子学生との交流などがあります。 滋賀県立大学は、県内の女子中高生を対象にした理系進路選択支援プログラムを実施しています。キャンパス内を探検しながら謎解きゲームをする「理系的思考体験」、身の回りにある商品を作っている企業と交流できる「職場交流体験」などを行っています。お茶の水女子大学には「理系女性育成啓発研究所」があり、中高の教員が利用できる、理系女子育成のための新たな教育プログラムを開発し、教材を公開しています。 愛媛大学は、2010年に「女性未来育成センター」(23年から「ジェンダー協働推進センター」に改称)を設置し、早くから女子中高生への理系進路選択支援を行ってきました。2012年から活動しているのが、同大学の理学部、工学部、農学部の女子学生からなるグループ「サイエンスひめこ」です。女子小中高生を対象としたイベントを運営しており、現在約80人の女子学生がグループに登録しています。
保護者への説明を重視
メンバーの一人である理学部3年の梶原萌さんは、愛媛大学に入学してすぐに「サイエンスひめこ」に登録。2年次には「女子中高生のためのロードマップtoサイエンス2023」で司会を担当しました。理学部、工学部、農学部の違いの紹介や、研究開発職に就いている卒業生による講演、研究室の見学会から、「サイエンスひめこ」と参加者の交流会まであり、理系学部のことがよくわかるイベントです。 「私自身、こうしたイベントで司会をするのが初めてだったので緊張しましたし、参加者の中高生も最初は緊張した様子でした。でも1日がかりのイベントなので、だんだんリラックスした雰囲気になり、交流会ではいろいろな質問が飛び交いました。特に『理工系の学部に進んだら、たくさん勉強しないといけないのではないか』といった質問が多かったので、『理工系だからといってたくさん勉強しないといけないわけではないし、自分が好きなことや、興味のあることを伸ばして、楽しみながら勉強してほしい』と伝えました」(梶原さん)