「羊水検査を絶対に受けろだと!」44歳「初産」妻を苦しめた夫の振る舞い...令和の「高齢出産」の問題とは
医療の発達にともない、高齢出産が珍しくない世の中になりつつある。かつては30歳で「マル高」などと言われた高齢基準も、現在では初産なら35歳とする見方が一般的である。 この記事の他の画像を見る 高齢出産の現実について、危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。 「仕事でキャリアを重ねているうちに妊娠・出産のタイミングを逃す方も多く、生殖医療の進化に伴って出産時期の高齢化は著しいです。体力には個人差があり一概には言えませんが、高齢出産の方が妊娠合併症を発症するリスクが高い傾向にあることや、産後の体力不足といった懸念があることは否めません。 親の高齢化も相まって、産後のサポートを頼めないという方も大勢いらっしゃいます。出産後に育児する人が孤独にならないよう、有料サービスも含めて、事前にサポート体制を整えておくことが必須です」 *医学的には「高齢出産」の基準はありません 今回高齢出産について話を伺ったのは、44歳で初めての出産を経験し、現在46歳の北本美保さん(仮名)。 「かつて自分で立てた妊娠・出産計画では、今の私の年齢で2人目を妊娠しているはずでしたが、2人目なんてとんでもない話です。娘は今ようやく2歳になりましたけど、実はまだ乳離れしなくて夜泣きもするので、寝不足とストレスは限界値です...」 覚悟していたつもりだったが、不妊治療・妊娠・出産・育児の大変さは、想像を大きく超えるものだったと美保さんは語る。 「5年間不妊治療を続けましたが、ある日、夫がもうやめたいと言ってきました。私が助成金のリミット年齢目前になったということもあったと思う。彼もつらい思いをしながら、私の願いを叶えようと耐えていましたので。 何度も泣きながら話し合って治療をやめると決めたのに、不妊治療をやめた4か月後に自然妊娠しました。信じられなかったですね」 強いストレスがかかっていた5年間は何だったのだろうと思った美保さん。 「喜びもつかの間、『つわり地獄』が待っていました。最初は『つわり』も妊娠の証だと喜んでいたのですが、あまりの辛さから妊娠の嬉しさを忘れるという……。とにかく一日中ひどい乗り物酔いをしているようで家から出られず、子を授かった多幸感なんて感じられませんでした」 つわりは、経験しない妊婦もいれば、入院するほど重い人もいる。 「私の場合、妊娠が発覚したと同時につわりが始まりました。産院が開く『母親教室』では幸せオーラ全開の妊婦さんがほとんどなのに、私ひとりだけ、どんよりしていました。 とにかく、家を出て、産院にたどり着くだけで精一杯。動くのがツライ上に、何かを食べていれば少しは落ち着くという『食べづわり』でもあったんです」 美保さんは、妊娠するまで食べたことの無かったコンビニの「からあげ」にハマってしまい、体重は妊娠前より15kgも増えてしまった。 「妊婦なのに、コンビニの『からあげ』が大好物になってしまい、食べている時は乗り物酔いのようなつわりが治まるんですよ。ただ、体重は15kgも増えてしまい、産院の先生には叱られましたが」 そんな重い「つわり」と戦う傍ら、期限のある「羊水検査」を受けるかどうかも激しく悩んだ。夫・友人・親から受けた方がいいと強く言われたことで、もともと受けるつもりがなかった美保さんは大きく揺さぶられ、それが新たなストレスとなった。 「今って普通に『羊水検査』を受ける方も多いと聞きますが、私にはできませんでしたね。命の選別ってやつですか。少ないとはいえ流産のリスクがあるというのもネックでしたし、きれいごとみたいですが、あれだけ欲しかった子がその検査で何か見つかったからといって『いらない』とか、思えませんよ」 しかし、夫は羊水検査を強く望んだ。 羊水検査に強い拒否を示す美保さんとは裏腹に、検査を強く望む夫。「我が子が障がいを持つこと」に対しての、大きな意識の違いがあったという。 後編で詳報する。 取材・文 /白澤ふみ
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