【スポーツカーの宝庫!】S2000、ビート、CR-ZにS-MX!一代限りで終わってしまった名車たち:ホンダ編
ホンダ・ビート(1991~1996年)
バブル景気の末期、ホンダからまったく新しいクルマがデビューした。それは超高級車や高額なスポーツカーではなく、『軽自動車初の2シーターミドシップオープンカー』、『価格は138万8000円(消費税含まず)』というものだった。その名はホンダ・ビート。 ビートはほぼ同じ時期に発売された軽スポーツカー、マツダ・オートザムAZ-1やスズキ・カプチーノとともに、すぐに大人気となった。 量産ミドシップ車としては世界初の、フルオープンモノコックボディを採用。ボディサイズは全長3295×全幅1395×全高1175mmで、ホイールベースは2280mm。全高の低さが目につく。車両重量は760kgだ。 ミドシップに横置きされるエンジンは0.66L直3で、64psを絞り出す。レッドゾーン8500rpmの高回転型で組み合わされるトランスミッションは5速MTだ。 サスペンションは4輪独立懸架のストラット式で、軽自動車初の4輪ディスクブレーキも装備された。美しく精悍なボディデザインは、年月が経っても古さを感じさせない。パワーステアリングは装備されていないが、ステアリングは重くなく、とにかく走りが愉しいクルマだ。 今でも1万5000台以上が現存しているというビート。実質的な後継車としてはS660(2015~2022年)が該当するだろうが、コンセプトは異なる。ビートのオーナーは『ビートは一代限りのクルマ』という思いが強いことだろう。
ホンダCR-Z(2010~2017年)
CR-Zは1.5L『i-VTEC』エンジンとホンダ独自のハイブリッドシステム『IMA』を組み合わせ、先進的で躍動感のあるデザインに、俊敏で爽快な走りと25.0km/Lの優れた燃費性能を融合したコンパクトスポーツカーである。 CR-ZをCR-Xの後続車と思われる方もいるだろう。確かに後席には大人が座るには小さいながらシートを備えた2+2シーターのコンパクトスポーツカーであり、エクステリアデザインにも共通する部分が感じられる。 だが、CR-Zの車名は『コンパクト・ルネッサンス・ゼロ』の略。従来のクーペの価値にとらわれず、新しいコンパクトカーを創造するという志のもと、原点(ゼロ)に立ち返ってチャレンジする、という意を込めたそうだ。 この当時のハイブリッドカーとしては世界初となる6速MTを設定、CVT車にはパドルシフトを採用した。専用サスペンション、ボディの軽量、高剛性化、徹底した空力処理などにより実現した、俊敏かつ安定感のあるハンドリング。当時、特に6速MT車を運転すると本当に愉しかったのを覚えている。価格も上級モデルのαで250万円(消費税込み)を切るなど、魅力に溢れていた。