ダイヤ改正で「横浜駅停車開始」の「ウィング号」 そもそもなぜ「通過」だった? 京急に聞く
京浜急行電鉄は、11月23日にダイヤ改正を実施しました。今回の改正では、平日夕夜間に運転されている座席定員列車「イブニング・ウィング号」が、新たに京急蒲田、京急川崎、横浜の3駅に停車することが、大きな変更点となっています。 【画像ギャラリー】「モーニング・ウィング号」に使われる1000形1890番台の車内 京急の座席定員制列車は、1992年4月、「ウィング号」として運転を開始しました。この列車は、品川~上大岡間をノンストップで走り、上大岡駅から先は快特と同じ駅に停まるというもので、一大ターミナル駅である横浜駅を通過するという特徴をもって生まれました。このような停車駅設定とした理由を京急の広報担当者に聞いたところ、「運行開始当時は、弊社乗降人員最大の横浜駅を通過する列車を設定することにより、品川から横須賀方面への通勤旅客にゆったりと座って乗車(帰宅)していただくことを目的としていたため」だと説明しています。 今回の停車駅追加は、「沿線における各拠点の利便性向上とさらなるまちの活性化」を理由に、途中駅での着席サービスを提供するためのもの。ダイヤ改正以降は、品川駅からの乗客に割り当てられるのは前後3両ずつとなり、中央の2両を、京急蒲田、京急川崎、横浜の各駅からの乗客の専用車として取り扱います。また、停車駅は3駅増えますが、これまでもイブニング・ウィング号は比較的余裕のあるダイヤで運転されていたため、品川~上大岡間の所要時間はほぼそのままとなっています。 また、今回のダイヤ改正では、イブニング・ウィング14・16号が、4両編成の金沢文庫駅行きから、8両編成の三崎口駅行きに、両数・行先が変更となっています。 この14・16号は、2023年のダイヤ改正において、8両三崎口駅行きから4両金沢文庫駅行きに変更され、さらに8両編成の快特の後ろに連結して運転するという形態になりました。前8両と後ろ4両で行先・種別が異なり、イブニング・ウィング号は時刻表上では通過する京急蒲田、京急川崎、横浜の3駅にも列車自体は停車する、というユニークな存在でしたが、一方で金沢文庫駅止まりとなった結果、横須賀・三浦方面への需要には応えらえていませんでした。京急の広報担当者は、「昨年からのご利用状況に鑑み、長距離のお客さまのご利用にも対応できるよう、行先と運行形態を変更いたしました」と、2023年ダイヤ改正以前の形態に戻す理由を説明しています。 なお、平日朝に走る「モーニング・ウィング号」では、停車駅の変更はありません。下り定期列車での横浜駅通過は今回のダイヤ改正で見納めとなりましたが、上り列車では、今後も大ターミナル駅に停まらない列車が見られます。
西中悠基