不登校になりゲームにのめり込む息子「大切な居場所」依存に悩む親の模索 #こどもをまもる
不登校に悩んだ親「ゲームは子どもの命綱のようなもの」
冒頭で紹介した吉野遼さんの母親・貴子さんは最近SNSを始めた。SNSでありのままの感情をつぶやくと、たくさんの「いいね」や、「うちもそう」といったリプライがつく。悩んでいるのは自分の家庭だけではないと思えるようになった。最近うれしかったのが「不登校でゲームばかりだったけれど、大学に行って就職しました。だから大丈夫」と、かつて不登校だった男性から連絡があったことだ。
中2の遼さんは、最近になって「目が悪くなるから」と自分から午後6時でゲームを終えるようになった。貴子さんはよい変化を感じているという。 「いつまで続くかは分かりません。でも、息子が自分でやってみようかなと思うようになったことが、成長かなと思っています」 前出の菅野大樹さんの母親・洋子さんは「親自身が大らかに構えると、子どもも安心していろいろ話すようになっていったと思います」と振り返る。最初のころは泣く子どもを車に押し込むようにして学校に連れて行ったこともある。家で見張っていると怒ってしまうと思い、洋子さんは看護師の仕事を続け、子どものこと以外を考えるようにした。不登校の子どもの親の会に入り、同じ立場の保護者と話すうちに考え方が変わっていった。 「不登校の時、息子が落ち込んだ時はゲームすらやる元気がなく、放心していました。ゲームをやっている時は元気なんだと思い、そっとしていました。ゲームは息子にとって命綱のようなものでしたから」 そんな経験を踏まえて、「なかなか難しいかもしれませんが」と洋子さんは続ける。 「あとで時間が経ち、振り返ってみると、子どもにとってゲームは必要な時間だったと思えるときがくるかもしれません」 子どもにとって学校やゲームとの関係をどうつくればよいのか。不登校の子どもがいる保護者たちの模索が続いている。
----------- 国分瑠衣子(こくぶん・るいこ) ライターとして経済・法律メディア、「会社四季報」などで執筆中。北海道新聞、繊維業界紙記者からフリーに。趣味はおいしい日本酒を探すこと。 「子どもをめぐる課題(#こどもをまもる)」は、Yahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。 子どもの安全や、子どもを育てる環境の諸問題のために、私たちができることは何か。対策や解説などの情報を発信しています。