不登校になりゲームにのめり込む息子「大切な居場所」依存に悩む親の模索 #こどもをまもる
「中2の子どもがスマホゲームにのめり込んでしまい、期末テストを受けないと言っています。ゲームを取り上げると『学校に行かない』と……。どうしたらいいと思いますか」 出席していた医師が答える。 「お子さんは、テストの成績が良くないのではと心配しているかもしれません。『成績にこだわっているわけではないよ』と親の考えを伝え、価値の転換を図ってみてはどうでしょうか」 一般社団法人「ネット・ゲーム依存家族の会」の定例家族会でのやりとりだ。同会は2021年、ゲーム依存の問題を広く知ってもらうとともに、当事者家族らの情報共有や交流のために発足した。毎月の定例家族会では、同じ悩みを抱えている家族が集い、互いの経験を分かち合う。 この日は児童精神科医、関正樹氏による解説や質疑応答などがメインだった。ゲーム障害に詳しい関氏は参加者に対して、オンラインゲームの特徴を説明することから始めた。 「最近の『ドラゴンクエストX(テン)』など、オンライン上の複数の参加者で行うRPGは大勢の仲間と一緒にやる草野球の感覚に近い。でも、だからこそオンライン上の人間関係に疲れる時もあるんです」 関氏はそれらのゲームがどれだけ楽しいかを説明したうえで、ゲームでは楽しみが延々と継続するように作られていると説明する。だからこそ、保護者が知っておいたほうがいいことについてこうアドバイスする。 「ゲームを減らす試みよりは、ゲーム以外の余暇を増やすことを試すほうが、脱依存は成功しやすい。また、ゲームにちょっと肯定的な大人のほうが脱依存の試みは成功しやすいです」
無理に子どもからゲームを取り上げたり、ネットを解約したりしないことも大切だ。 「強引に引き離そうとすれば、子どものささやかな居場所を取り上げてしまうことになり、高い確率で失敗します。だから、まずは親子間の対立を少なくするコミュニケーションを模索することが大切です。第一歩は、家庭が(安心できる)居場所として回復することです」