不登校になりゲームにのめり込む息子「大切な居場所」依存に悩む親の模索 #こどもをまもる
依存症は「やめる」「やめない」の議論になりがちだが、金田一さんは「ゲームだけへの依存から他にもたくさんの“依存先”がある状態を回復のモデルとして一つの目標にしています」と説明する。また、ゲームの中に子どもが現実の世界で求めていることが隠れている可能性があると指摘する。 「例えばチームを組んで戦うゲームにはまっている場合、部活みたいにチームで目標に向かって頑張りたいという気持ちがあることが少なくありません。ゲームを知ることは本人の感情の理解につながります」
「ゲームはもういいや」依存から脱出したきっかけ
ゲームに夢中になった不登校の時期を経て、その後、自立した人もいる。北海道に暮らす菅野大樹さん(仮名・20)だ。大樹さんはいま、ドラッグストアで働いているが、中学校の3年間、ゲームに依存していた時期がある。 不登校になったのは小学4年生の時。自分でも理由は分からなかった。5、6年生の時は教室には行けないものの、放課後に保健室で担任の先生から勉強を教わったし、友達と遊ぶ日もあった。進学した中学校へは入学式から3日間は行った。だが、その後学校に行くことはなかった。自分の部屋にこもり、対戦アクションゲーム「スプラトゥーン」のコントローラーを動かし続けた。 大樹さんに変化が表れたのは通信制高校に進学してからだ。自宅で通信教材を使い学習を進めながら毎月、リポートを提出した。年2回のテストの時は学校に行った。学校でたくさん友達ができたわけではない。だが、パソコンを買う時に相談に乗ってくれた1歳年上の男性と食事やカラオケなど外に出ることが増えた。課題や外出で忙しくなるにつれ、「ゲームはもういいや」と思えるようになった。 昨年2月、通信制高校を卒業した大樹さんは、アルバイトをしながら医薬品を販売する専門資格をとり、希望していたドラッグストアの仕事に就いた。大樹さんは母親の洋子さん(仮名・50代)にこう話したという。 「やりたいことのためにやる勉強は面白い」