不登校になりゲームにのめり込む息子「大切な居場所」依存に悩む親の模索 #こどもをまもる
遼さんは貴子さんに「通学は高い壁を越えろというくらい難しい」と吐露し、ゲームについてはこう語っているという。 「今のエネルギーはゼロに近い。けれど、ゲームをやって、エネルギーがマイナスにならないようにしている」 遼さんの気持ちを尊重し、貴子さんは担任の先生と連絡を取りながら見守っている。 「息子の心の安定剤になるのならゲームはやっていい。ただ、あまりにも長時間続けることは、視力や体力低下の面から心配しています」
ゲームに肯定的な親のほうが「脱依存は成功しやすい」
不登校の小中学生が増えている。文部科学省によると、2021年度に小中学校に在籍する児童生徒952万9152人のうち、病気や経済的理由を除き30日以上欠席した児童生徒は24万4940人。前年度より約25%増え、過去最多を記録した。少子化で子どもが減るなか、小学校では77人に1人、中学校では20人に1人が不登校という数だ。 不登校の要因として関連づけられがちなのがゲームだ。因果関係は別として、子どもがゲームに熱中し、時間のコントロールができなくなったり、部屋に閉じこもるようになったりするケースがあるからだ。
2019年には、世界保健機関(WHO)が「国際疾病分類(ICD)」にゲーム障害(ゲーム依存)を加えた。診断基準は(1)ゲームに熱中し、利用時間をコントロールできない、(2)仕事や学校、家族関係などよりもゲームを優先する、などで、こういった状態が12カ月以上続き、生活に大きな支障が出ている場合に「ゲーム障害」と診断される可能性がある。厚生労働省研究班の調査では、ネット・ゲーム依存が疑われる中高生は、93万人いると推計されている(2017年度)。 不登校の子がみなゲームに依存しているわけではない。どちらの調査も関連性を尋ねてもいない。それでもなお、不登校の子どもの保護者が集まる家族会などを取材すると、ゲームが先か不登校が先かは別として、ゲームが密接に関わっていると感じている人が少なくない。そんな保護者の中には自助グループのようなコミュニティーをもつ人たちもいる。 3月の休日の午後、東京・江東区のコミュニティーセンターの一室に30人ほどが集まっていた。オンラインで鳥取や長野から参加している人もいる。参加者の多くは母親だが、父親や祖父母の姿もあった。参加者から声が上がる。