稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾「新しい地図」が連ドラで存在感
SMAPとしてのCDデビューから満30年の今年、稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾がそれぞれ地上波の連続ドラマで存在感を発揮している。稲垣は4月12日からNHK総合でスタートする「きれいのくに」(月曜・午後10時45分)に出演が決定し、草なぎはNHK大河ドラマ「青天を衝け」(日曜・午後8時)、香取はテレビ東京系月曜夜10時枠の「アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~」(以下、アノニマス)がすでに放送中だ。
3人それぞれが持ち味を発揮
稲垣は主演も助演もこなす俳優といわれ、ジャニーズ事務所退所後も2019年公開の主演映画「半世界」(阪本順治監督)や昨年(2020年)公開の主演映画「ばるぼら」(手塚眞監督)などで高い評価を受けている。また、昨年はほかにNHK連続テレビ小説「スカーレット」出演も注目を集めた。稲垣にとって1989年の「青春家族」以来、約30年ぶりの朝ドラ出演だった。そして4月から始まる吉田羊主演「きれいのくに」は新枠に移動した「よるドラ」の第1弾で、容姿に対するコンプレックスが重要なテーマになるという。大人たちのほとんどが同じ顔をした不条理な国が舞台で、稲垣はユニークな役どころ。成人男性のほとんどが稲垣の顔に整形して過ごす中、学校の教師も街を歩く男性たちも顔がみな稲垣で、CGも駆使しつつ一人で何役もこなすというから見ものだ。ちなみに女性たちの顔は加藤ローサなのだとか。NHKらしい独創的で攻めたドラマになりそうだが、稲垣がこれまでさまざまな作品で培ってきた役者としてのふところの深さを見せてくれることに期待したい。 一方、そのNHKの看板ともいえる大河ドラマに出演中なのがかねてより演技力に定評のある草なぎ。吉沢亮主演の「青天を衝け」で、準主演級ともいえる徳川慶喜役を演じる。草なぎといえば、昨年公開の主演映画「ミッドナイトスワン」(内田英治監督)で演じた新宿のショーパブで働くトランスジェンダーの主人公・凪沙(なぎさ)役が記憶に新しい。体は男性だが女性として生きる凪沙が、親から虐待されてきた少女と出会い、母性に目覚めていく様を繊細な芝居で見事に演じきった。これまでさまざまな役を経験し高い評価を得てきたが、どんな難役にも果敢に挑む草なぎにとって、またひとつ大きなステップアップの機会となった。そして大河「青天を衝け」でも出演場面の少なかった第1話から、ワンシーンで視聴者の心をつかんだ。草なぎは登場人物を演じているというより、その人物が本当にそこにいると感じさせるほど役になりきる。役作りがしっかりしている証だろう。すでに21日に第2話が放送されたが、3話以降が引き続き楽しみだ。 民放ドラマ5年ぶりの出演となった香取は、主演作「アノニマス」でワケありの刑事・万丞渉を好演している。警視庁が試験的に新設した指殺人(ゆびさつじん)専門の「警視庁指殺人対策室」(架空の部署)を舞台としたミステリーサスペンス。指殺人とはネット上における誹謗中傷や炎上などキーボードによる殺人を意味するもので、現在、深刻な社会問題となっているテーマに切り込んでいる。香取もまた少年時代から数多くのドラマに出演してきたが、役者として円熟味を増してきた。今作では過去に事情を持つ一匹狼的な万丞渉という人物像を重厚かつ確かな演技で伝えている。すでに撮影自体はクランクアップしたが、最終回まで目が離せない。 演技の話ではないが、23日には「新しい地図」と日本財団により設立された基金「LOVE POCKET FUND」(愛のポケット基金)の「新型コロナプロジェクト」第7弾支援先が発表。感染後の重症化リスクが高い高齢者に寄り添う医療・介護従事者への支援が決定したとのニュースが駆けめぐった。エンターテインメントの世界に身を置きながら社会貢献に、作品に、活躍し続ける3人それぞれをこれからも見守りたい。 (文:志和浩司)