【40代・50代のビタミンD活】毎日コツコツ「ビタミンD活」で病気予防! では、ビタミンDの働きと摂取目安量って?
ビタミンDが健康にどれだけ大切かはわかっていても、紫外線によってつくられると聞くと、どうしても尻込みしがち。紫外線は避けたい、でもビタミンDは作りたい…。さあ、そのジレンマとどう闘う? ビタミンDに詳しい医師の斎藤糧三さんに指南していただいた。
病気にならないビタミンDの必要量はどのくらい?
ビタミンDは、紫外線を浴びて皮膚でつくられる特殊なビタミン。食べ物にはごく少量しか含まれていない。そもそもヒトの体は、日光に当たってビタミンDをつくるようにできている。 原始時代からそうだったはずが、現代人は紫外線をガードする生活が当たり前になってしまった。皮膚でつくられるビタミンDが大きく減少し、直近の大規模な研究・検証では「日本人の98%がビタミンD不足だった(注1)」という結果に。 (注1)The Journal of Nutrition誌Volume 153, Issue 4, p1253 ビタミンD不足による健康被害の代表は、更年期以降の女性が気になる骨粗しょう症。それ以外にもインフルエンザなどの感染症、花粉症などのアレルギー、うつ、心疾患、がんなどさまざまな病気との関係も解明されつつある。 では、ビタミンDを「充足」レベルに保つには、いったいどのくらいの量が必要なのだろうか? 早くからビタミンDの重要性を訴え続けてきた斎藤先生に聞いた。 「必要量を確定するのはなかなか難しいところ。充足レベルの指標になる血中濃度は、食品からの摂取と紫外線による産生を合わせた指標であって、必要量と直接連動するものではありません。 しかも住んでいる場所、ライフスタイル、年齢などによって、紫外線によるビタミンDの合成量は個人差が大きいものです。厚生労働省の食事摂取基準でも『必要量』は提示されておらず、設定されているのは食事からとる『目安量』(注2)だけ。まずは外に出て日光を浴び、ビタミンDをつくってくださいよ~、ということなんです。 確かに紫外線はシミ、シワたるみの原因です。日焼けは絶対に嫌! と思うかもしれませんが、骨粗しょう症になったり、免疫が下がったりするのも嫌じゃないですか? ビタミンDが不足しない賢い方法、病気の予防法を提案していくのが、私たち医師の使命だと思っています。 私が尊敬するビタミンDの研究者、米ボストン大学のホリック博士らは1日の必要量に関してさまざまな検証をし、数値を明示しているので、それを参考にしましょう」 (注2)「日本人の食事摂取基準(2022年版)」では、成人(18歳以上)の食事からとる目安量を1日8.5µg(340IU)としている。 ホリック博士とは、前回クローズアップした「ドクター・ビタミンD」ことビタミンDの世界的オーソリティだ。ホリック博士をはじめとするアメリカの内分泌学会の臨床実践ガイドライン(注3)によれば、血中ビタミンD濃度を「充足」レベルに保つために必要なビタミンDの量は… 成人(18歳以上)1日当たり 37.5µg~50µg(1500IU~2000 IU) としている。 (注3)The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, Volume 96, Issue 7, 1 July 2011, Pages 1911–1930 *ビタミンDに関する説明の際、IU(アイユー)とµg(マイクログラム)というふたつの単位が出てくる。 IUとは国際単位(International Unit)の略で、生体に対する効力を示す単位としてWHO(世界保健機関)が制定しているもの。ビタミンDをはじめとする脂溶性ビタミンなどに対して用いられる。日本では食品表示法で重量単位で示すことが求められ、µgを使うのが主流になっている。 「このビタミンD量は、骨粗しょう症や骨軟化症にならないための最低限の量です。 さまざまな病気予防となると、私の臨床の感覚では1日に100 ㎍ (4000IU) は必要。特に花粉症などアレルギー症状を軽減するにはそれくらい必要になりますね。 これはちょうど『日本人の食事摂取基準』の耐容上限量に当たる量。」