あなたはひとり時間を楽しめますか?【Dr.純子のメディカルサロン】
◇あなたの「ポジティブな孤独」尺度
海原 自分がどのくらい「ポジティブな孤独」を重要視しているか、実践しているかの尺度などはあるのでしょうか。 松隈 はい、ポジティブな孤独を測定するための尺度が開発されており、以下の九つの質問に「全くそう思わない」から「極めてそう思う」の5段階で答えることで、自分がどれほど「ポジティブな孤独」を前向きに捉え、大切にしているかどうかを確認することができます。これは自分を見つめ直す良い機会にもなると思いますので、ぜひ試してみてください。 +++ “自分の時間”とは、同じ空間に他の人がいてもいなくても、他の人と会話をしないで自分のために使っている時間を指します。(例:図書館でのひとりで行う読書、家の中で家族が周りにいる状況でのひとりで行う調べ物なども含む) Q1. 自分の時間を確保することで、私は、今後の計画が立てやすくなる Q2. 心地良い場所/環境で、私は、楽しむための自分の時間を確保することが好きだ Q3. 私は、家の外を眺めたり、景色を眺めたりする自分の時間をつくることが楽しい Q4. 自分の時間を確保することで、私は、集中力が高まり最高の結果を出すことができる Q5. 自分の時間がある時、私は、自分が必要とする高い集中力を発揮することができる Q6. 私は、ストレスを感じている時に、自分の時間を持つことで心が晴れやかになる Q7. 自分の時間が、私の人生をより意味のあるものにする Q8. 自分の時間が、私の新しい発想を生み出す Q9. 自分の時間を確保することは、私の生活の質を高めることにつながる +++ 海原 この尺度はどのように使えばいいでしょうか。 松隈 各項目が「1:全くそう思わない」「2:少しそう思う」「3:ある程度そう思う」「4:とてもそう思う」「5:極めてそう思う」の5点満点になり、合計点が9点から45点になります。合計点が高いほど、自分がひとりの時間を前向きに捉え、価値を置いていることを意味します。まずは合計点を計算してみて、どれほど自分が「ひとりの時間」に価値を置いているのかを確認してみてください。そして、自分にとっての「ひとりの時間」の意味合いや、どれほどそのような時間を自分は必要としているのか等を考えるきっかけにしていただきたいと思います。 海原 こうして合計点を出して高いほど「ポジティブな孤独」時間に価値を置いていると捉えられるのですね。 松隈 心の健康や幸せ、ウェルビーイングに関する議論の中で、「人とのつながり」の重要性がしばしば強調されますが、同時に「ポジティブな孤独」の大切さも認識されるべきだと思います。ひとりの時間を持つことは、自己を深く理解し、内面的な成長を促すために必要不可欠です。この考え方が広まり、多くの人々が「ポジティブな孤独」の意義に気づき、実践することができる社会になることを願っています。(了) 松隈信一郎(まつぐま・しんいちろう) 医学博士、公認心理師。慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了。在学中、関東圏内の不登校やひきこもりの青年らへ訪問支援や保護者支援、企業・教育機関における心理教育のカリキュラム開発・監修に従事。19年、第6回ポジティブサイコロジー国際学会臨床部門症例大会ファイナリストに選出される。立教大学GLP兼任講師、慶應義塾大学医学部精神神経科学教室特任助教を経て、22年よりフィリピン大学ディリマン校心理学部に在籍。専門領域である強みとウェルビーイング、心理的豊かさの研究や講義を行う。著書に「人生を豊かにするウェルビーイングノート」(金剛出版)等。