自民総裁選「安倍vs.石破」主張を比較 坂東太郎のよく分かる時事用語
自民党総裁(トップ)を決める選挙の投開票が間近です。今回は安倍晋三首相(党総裁)、石破茂元幹事長の両候補の公約を比較検討してみました。安倍氏は「出馬表明後配付資料」から、石破氏は「石破ビジョン」から、それぞれ政策をすくい上げています。そこでの安倍氏の「5つの決意」、石破氏の「日本創生戦略-石破ビジョン-」が主な公約部分です。スローガンは安倍氏が「責任、実行」で石破氏が「正直、公正」。候補者順は五十音順。10日に開かれた両氏の初見表明演説と共同記者会見の内容も含めました。 【写真】「安倍vs.石破」自民総裁選の仕組みと歴史
●政治姿勢
安倍氏は現職。過去の6年を「志はいささかも揺るがず。今、新しい時代への『決意』とともに」と実績を強調し支持を得たいとのスタンスです。「出馬表明後配付資料」の裏面には「数値で見る安倍政権の6年」がズラリ。名目GDPの増加、有効求人倍率の改善、訪日外国人の増加などを紹介して「私に任せろ」と自信をみなぎらしています。後は「写真で振り返る安倍政権」とでもいうべきスライドが並んでいるのです。 石破氏は自身の政治姿勢への共鳴を図っています。現状を「国民の政治・行政への信頼が大きく揺らぐ今」と分析、安倍氏のキャッチフレーズ「日本を取り戻す」になぞらえたかのように「謙虚で正直で国民の思いに近い政治」「透明・公平・公正な政治・行政」「課題に正面から挑み決断する政治」を「取り戻します」と訴えるのです。背景に森友・加計問題があるのは明らか。なのに「信頼が大きく揺らぐ」と憂いていながら「なぜ、誰が、どこで、何を」を欠いています。 自民党総裁選は党内の内輪の選挙です。相手候補と差異化して少しでも自らが優れていると証明したいのは公職選挙と変わらないものの、やり過ぎると「まるで野党だ」と反感を持たれてしまうというジレンマを本来的に抱えています。 現職は過去の選挙の大半がそうであったように実績を示すだけでサマになるのに対し、挑戦者は差を示さねば勝機がないけどめった切りするわけにもいかないので、暗に「分かっていますよね」といったニュアンスを込めるしかないようです。