自民総裁選「安倍vs.石破」主張を比較 坂東太郎のよく分かる時事用語
●地方創生
安倍氏は「美しいふるさとを守り、次世代へ引き渡す」と意気込み、「若者にチャンスあふれる、強靭な地方を創り上げる」べく「新しい挑戦を後押しする農林水産業全般にわたる改革、中小・小規模事業者の生産性革命、訪日観光客4000万人を実現」するという方向性を打ち出しました。 石破氏にとって地方創生は安倍氏における「アベノミクス」に比する金看板なので、力がこもります。「大都市の豊かさが地方に波及するという発想を転換」辺りが安倍氏への対抗軸でしょうか。“という発想”がアベノミクスが目指したとされるトリクルダウン理論(もっとも安倍氏は否定している)を指しているように読め、「転換する」というのですから。また「脱炭素化・再生可能エネルギーを原動力に地方創生を実現」とも。原発についての言及はないのですが、いっそう再生エネの方向へかじを切ると言いたげです。
●防災・減災
安倍氏は「集中豪雨など近年の気象変化に対応し、国土強靭化を進め、強靭なふるさとを創り上げる」としています。国土強靱化とは、安倍内閣が進めてきた政策の一つで大災害から国を守るため、致命的な被害を被らないい「強さ」と速やかに回復できる「しなやかさ」を合わせ持つシステム構築を指すのです。もっともこの政策に「防災に名を借りた公共事業大盤振る舞いの復活ではないか」と批判があるのも事実です。 石破氏は「『防災省』の創設など政府の司令塔機能と現地対応能力を抜本的に強化」をうたいます。財源は「防災・減災国債」。警察、消防、自治体、さらには自衛隊や海上保安庁などに機能が分かれているのを一元化するといった内容です。画期的なプランと賞賛する向きがある一方で、「どこまで本気なのか」といぶかしがる声も。 10日の記者会見で、安倍氏は防災省を作るアイデアに「一考に値する」とはしたものの、首相のリーダーシップこそ重要と強調しました。石破氏は会見直近に発生した北海道地震を例に、能力の高い防災省新設が欠かせないとあらためて訴えています。