自民総裁選「安倍vs.石破」主張を比較 坂東太郎のよく分かる時事用語
●経済政策
安倍氏は「頑張った人が報われる経済成長」を訴え、「『三本の矢』で、デフレ完全脱却を成し遂げ、戦後最大のGDP600兆円を実現」するとしています。「三本の矢」とは第2次安倍政権誕生以来の金看板「アベノミクス」そのもの。その力で「真っ当な経済を取り戻しました」「『失われた20年』はもはや過去のもの」というのが自己評価です。 石破氏は「ポストアベノミクスへの展開」と題しました。アベノミクスそのものは否定しないものの、「次(ポスト)」の段階が用意されるべきという点が安倍氏と異なります。「現行の成長戦略」(つまり3本目の矢)に「検証なき膨張」が続いていると不安視し「財政規律にも配慮」する姿勢なのです。ただし増税など具体的な言葉は見当たりません。
●社会保障
安倍氏は「すべての世代が安心できる社会保障改革」を掲げます。高齢化については「生涯現役社会の構築を進め」少子化の方は「教育の無償化」「希望出生率1.8」の達成を見込みました。財源は「成長と分配の好循環」で生み出し「女性活躍」を含め「社会保障制度を全世代型へと改革」するといった内容です。10日の所見表明演説ではこの改革を3年で断行すると述べました。 石破氏は「より人を幸福にする福祉社会の実現」に向けて「安心と納得で現役世代・高齢世代が支えあい持続可能な社会保障制度の確立」「新たな社会の創生」を説きます。高齢化は柔軟な年金受給や医療の高度化、IT化などで、少子化は「女性が活躍できない仕組みや社会意識」を是正して「女性の立場で出産、子育て等を全力支援」「ライフスタイルに対応した子ども・子育て政策を充実」させる」する方向で解決を目指すといいます。 財源について安倍氏がいわゆる「上げ潮」路線での捻出をイメージしているのに対し、石破氏は「社会保障財源の明確化と確保」を挙げました。いくぶん財政再建路線に近いもようです。ただ両氏とも「消費税の増税」といった具体的な負担増は避けています。ただ10日の記者会見で安倍氏は消費増税を予定通り引き上げたいと発言しました。