50歳から始まる「軟骨のすり減り=ひざ痛の元凶」は、「関節の衰え」をリカバーする筋トレで軽減できる
では、1日に何歩ぐらい歩けばいいのでしょうか? 答えを言うと、何歩でもかまいません。毎日やれば、それでいいのです。それでも「歩数の目安がほしい」と言う方には「10分でいい」とお答えしましょう。 群馬県中之条町で全住民(寝たきりの人以外)を対象にした「中之条研究」という有名な研究が、ヒントになるかもしれません。その研究では、1日7500歩(速歩きで17.5分)でサルコペニア(加齢によって体を動かす筋肉の量が減り、身体能力が低下した状態)による体力低下が予防できるという結果を得ました。さらに、運動の強度は高過ぎても低過ぎても良くなく、中強度運動が有効だということがわかりました。
■「1日1万歩」にこだわる必要はない 日本の厚生労働省は、1日1万歩を勧めています。でも、そこまで歩く必要はなく、中之条研究からも、8000歩(速歩きで20分)で十分、それより短い10分でも十分だと私は思っています。“ながら歩き”で負荷を足すのですから、本当に歩数にはこだらなくてもいいでしょう。もちろん、速歩きにこだわる必要もありません。 ただし、たくさん歩ければ、それだけ効果は期待できます。歩いていて痛みがなければいくら歩いても大丈夫ですから、量を増やすことができればそれに越したことはありません。
それでも、歩くのが難しい人は、本当に10分でいいのです。「外出は500メートル先のスーパーまで。それ以上は歩きたくない」という人は、それでいいのです。 ただし、その500メートルを「普通にゆっくり歩くだけ」では、筋肉への負荷が少な過ぎます。健康になるには、そして節々の痛みを和らげるには、500メートルしか歩かない人も、もっと歩いている人も、「いつもの歩き方」にプラスαして負荷をかけましょう。それでこそ「筋トレ」になります。
■歩くという動作を「全身運動」にする 「歩く」という動作には、足しか使ってないイメージがあるかもしれませんが、それは少し違います。普通にゆっくり歩くだけならそのイメージに近いのですが、いろいろやりながら歩けば全身運動になります。腕を前後に振るのも、慣性で腕が動くのに任せるのではなく、意識した動かし方をすれば負荷をかけられます。 「わざわざやる」のではなく、いつも歩いているときに「歩きながらやる」ので、ついでにやれる手軽さがあります。