三菱航空機MRJ初納入1年延期 機体の強度向上図るため
三菱航空機(愛知県豊山町)は24日、開発を進める国産初の小型ジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)の第1号機納入時期を、当初予定の2017年4~6月から1年程度延期し、18年半ばにすると発表した。機体の強度向上や試験項目の見直しを図るため。納期延期は4度目となる。 MRJ日の丸ジェット、7割の部品が外国製ってどういうこと?
岸副社長「想定に甘いところがあった」
同社の森本浩道社長らが春日井市で記者会見し、納入延期に関して説明した。初納入先となる全日本空輸(ANA)にも納期延期を知らせ、「残念」という反応があったことを明かした。25機の受注契約については、キャンセルはないという。 機体の強度については、通常の飛行では「問題ない」とした。開発責任者の岸信夫副社長によると、通常飛行で考えられる最大の負荷を100%とした場合、100%には耐えられるが、それ以上の150%になると、主翼の付け根部分に問題が出る恐れがあるという。 国土交通省が安全性を認証する「型式証明」を取得するためにも強度向上は不可欠。岸副社長は、強度を上げつつ軽量化も追求する現状を踏まえ「50年ぶりの旅客機開発で、想定に甘いところがあった」と、正直な胸の内を明かした。
森本社長「市場に食い込むには開発加速させる」
同社では、15年10月以降に行った走行・飛行試験に関しては「良好」の結果として、そこで得られたデータを改修に利用している。これまでの受注は国内外の航空会社から計407機あり、契約キャンセルなどは出ていない。特に11月の飛行試験以降は、引き合いが増加しているという。 同社は開発作業の加速や、北米での飛行試験実施に向けて、三菱航空機本社やアメリカのシアトルエンジニアリングセンターとモーゼスレイクテストセンターの、3拠点の役割や体制を整える。MRJの部品供給や、機体受注も多いアメリカの拠点には、航空宇宙関連の経験者を送りこむ。 リージョナル(地域間輸送)ジェットの競合他社は、ブラジルのエンブラエル社やカナダのボンバルディア社があり、この2社が世界市場のほとんどを占めている。この市場に挑戦するMRJは、燃費や環境性能の良さ、客室の快適性などを売りに受注数を増やしてきた。開発計画の延期は6度目となり、今後の受注の推移に注目が集まる。 森本社長は「市場に食い込むには開発を加速させる」と意気込み、「安全安心で完成度の高い機体を目指す」と力を込めた。 (斉藤理/MOTIVA)