中国EVメーカー「NIO(ニオ)」とは何者か? 想像より凄い…事業内容や売上を徹底解説
中国のEVメーカー「NIO(上海蔚来汽車:ニオ)」は、その高い自動運転技術や高価な車種ラインナップから「中国版テスラ」と呼ばれるなど、世界のEV市場において注目の存在だ。同社がここまで成長している理由はどこにあるのか。本記事では、NIOの基本情報をはじめ、株価・売上・シェアから見た市場ポジション、展開する車種ラインナップや今後の展望について解説する。
NIOとは?どんな会社か?
NIO(上海蔚来汽車:二オ)とは、上海を拠点に高級EVを開発・販売する企業である。まずは、NIOの基本情報を確認しておこう。 NIOは、李斌(ビン・リー)CEOによって2014年に共同設立された。同時期に創業したEVメーカーのXpeng(小鵬汽車:シャオペン)・Li Auto(理想汽車:リ・オート)とともに、「新興EV造車三兄弟」と呼ばれている。 高い自動運転技術や高級モデルのラインナップから「中国版テスラ」と呼ばれている。実際にリー氏の独特な発想は、欧米メディアにおいてテスラのイーロン・マスク氏と比較されることも多い。 NIOは、創業からわずか4年足らずで、量産車の販売やニューヨーク証券取引所への上場を果たしている。2021年にはノルウェー市場に参入し、その翌年にはハンガリーに海外初となる生産拠点を展開するなど、積極的な欧州進出への姿勢を見せている。
NIOの強み
NIOは、中国を代表する新興EV企業3社の中でも、販売台数が多いことで知られている。以下に挙げる独自のサービス展開は、同社の代表的な強みに挙げられるだろう。 ・バッテリー交換方式を搭載 ライフスタイル事業を展開 ここからは、それぞれについて詳しく解説する。 ■バッテリー交換方式を搭載 NIOは充電式だけではなく、バッテリー交換可能なEVの生産・販売にも注力していることが特徴だ。 2023年10月時点で、中国全土2000カ所のバッテリー交換ステーションを建設・運営している。また同年11月にはバッテリー交換事業において、大手自動車メーカー・長安汽車との協力協定の締結を発表した。 1ページ目を1分でまとめた動画 NIOはユーザーに向けて、BaaSバッテリーサービスというバッテリーのレンタルサービスを展開している。いわゆる「サブスク」にあたるサービスで、交換ステーションに行けば、約3分間で充電済みのバッテリーと交換してもらうことが可能だ。2020年8月のサービス開始以降、累計10万人のユーザーがBaaSバッテリーサービスを利用している。 BaaSバッテリーサービスを利用すれば、ユーザーはEV購入の際にバッテリーを購入する必要がないため初期コストを抑えられるほか、継続的なサービスも受けられる。NIO側も継続的な安定収入を見込めるメリットがあることから、Win-Winの関係と言えるかもしれない。 ■ライフスタイル事業を展開 NIOは自動車事業だけでなく、「NIO House」「NIO Life」といったライフスタイル事業も展開している。 NIO Houseとは、NIO車を保有するユーザーが入室・利用できるラウンジのような空間だ。2024年9月時点で世界中に161カ所以上を運営している。 実際にNIO Houseでは、以下のような施設を利用できる。これら機能を持つNIO Houseの展開により、ユーザー同士のコミュニティ形成に役立てる狙いがある。 ・リビングルーム:リラックスしてほかのユーザーとコミュニケーションをとれる ・コワーキングスペース:会議室の予約もできる ・ミニ図書館:知識の習得やリラクゼーションに役立てられる ・カフェ:一流バリスタによる特製コーヒーを楽しめる ・ジョイキャンプ:子どもたちが遊べる ・ギャラリー:NIOや製品に関する知識を深められる 一方、独自に立ち上げたライフスタイルブランド「NIO Life」も展開している。服飾品・食品・ワインをはじめ、世界で活躍する600人以上のデザイナーがデザインした製品を取り扱っている。 このように独自の高級会員制サービスを提供し、顧客満足度アップを図っている点は、ほかの振興EVメーカーとは異なる強みと言えるだろう。