「帯状疱疹」が20~40代に増えているワケは“水痘ワクチン”接種!? 回数も「一生に一度」ではない!?
■顔に出たことの意味 体中に張り巡らされている神経。ここに潜むウイルスが1本の神経に沿って暴れ出す帯状疱疹。出る範囲の多くは上半身とされていますが、記者のように顔に出たことには、どんな意味があるのでしょうか。 嶋津医師は「ウイルスは、ほぼすべての神経節に潜むので、そこに何らかの理由があるからとかではなく、偶然そこに出る。たまたま、選ばれてしまったのだ」と説明。ただ、「顔に出た場合は、合併症や後遺症を心配する部位でより注意を必要」といいます。 帯状疱疹の後遺症で代表格といえるのが「帯状疱疹後神経痛」。発疹や水ぶくれなどの症状が治まったのちも続くという、なんともやっかいな後遺症です。また、顔の場合、「顔面神経痛」や「角膜炎」「結膜炎」などがみられることがあり、視力低下や最悪、失明に至ることもあるのです。 嶋津医師は「腫れや水ぶくれなど、見た目の症状は一部かもしれないが、実はその一帯の神経にも障害が出ている。とにかく気になったら迷わず受診して、しっかりと抑え込むことが大切」と呼びかけます。 ■「体を一周したら死ぬ」ってホント? 私は「1週間の加療が必要」という診断書を出してもらい、仕事を休んで治療に専念。右まぶたにも少し発疹が出たものの、飲み薬で症状は改善しました。 完治後、知人にこの話をすると「帯状疱疹って一周したら死ぬ、っていうよね」とかえってきました。確かに、ネット上にも同様の記述が散見されます。そんなこと、本当にあるのでしょうか。 宇野医師は「基本的には左右どちらかに出る。さすがに(一周回って死ぬことは)ないと思う」ときっぱり。「ウイルス量が多いと『汎発性帯状疱疹』といって、体のいろいろな場所に出ることもあるが、これは本当にまれなケース。これが『一周回る』と言われているのではないか」と分析します。 日本医師会などによる調査によると、2009年からの3年間で帯状疱疹の入院例は、約18,000人だったのに対し、亡くなったのは3人。そのほとんどが基礎疾患を抱えた患者だったといいます。不確かな情報に振り回され、余計なストレスを受けていては、治るものも治らない。記者が自宅療養中、スマホの電源を切っていたことは正解だったかもしれません。