「帯状疱疹」が20~40代に増えているワケは“水痘ワクチン”接種!? 回数も「一生に一度」ではない!?
■なぜ、働き盛りに急増?「水ぼうそう」との意外な関係 そもそも、帯状疱疹はなぜ起きるのでしょうか。原因は水ぼうそうと同じウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)。日本人の成人の9割以上の体内に、このウイルスが潜んでいるといわれます。 静岡済生会総合病院皮膚科の嶋津苗胤副部長によると「子供の頃にかかった水ぼうそうによって、水痘ウイルスが神経節に潜んでいる。これが何らかの免疫力低下が起きた時に、今度は一本の神経に沿って暴れ出す」のが発症のメカニズムだといいます。 帯状疱疹は50代以降、発症率が急激に増え、80歳までに、3人に1人はなるといわれています。中でも、いま、目に見えて増えているといわれるのが、20代から40代。働き盛り世代の発症と聞くと、過労やストレスが引き金、と思いがちですが、宇野医院皮膚科アレルギー科の宇野裕和院長によると、それだけではないというのです。 ■「一生に一回」と言い切れなくなった背景 背景には、「子どもたちへの水痘ワクチン接種」があるといいます。水痘(水ぼうそう)ワクチンは2014年から定期接種が始まりましたが、「以前は子どもの水ぼうそうの患者は多かったが、定期接種によって数は減ってきた。その一方で、親がウイルスに接する機会が少なくなり、『ブースター効果』といって、追加免疫が得られなくなり、結果として帯状疱疹を罹患する年齢が若年化してきた」(宇野医師)というのです。 帯状疱疹の大規模疫学調査「宮崎スタディ」によると、再発率は約6%。一度、帯状疱疹になると、ウイルスに対する免疫力があがるため、再発することはあまりないといわれています。ただ、年が経てば、抗体も徐々に減り、そのタイミングで過労やストレスなどで免疫力が低下すれば、再びあの辛い痛みに襲われる可能性があります。 また、抗がん剤など免疫抑制を起こしやすい治療を受けている場合も同様です。いずれにせよ、「帯状疱疹は一生に一回だけ」とは言い切れないのです。