日銀「7月の追加利上げ」確率は上がった? 所定内給与の伸びと進む円安
さらなる円安が進めば7月も選択肢に
その点、日本は米国と同様に物価が中央銀行の目標を上振れて推移している一方、個人消費の基調は微減で、ここに決定的な違いがあります。実際、日銀が算出する実質消費活動指数は2023年半ばで回復が頭打ちとなっています。また日銀が賃金・物価の前向きな循環を確認する上で重視しているサービス物価については、その上昇がインバウンド需要によって押し上げられている宿泊業に集中しており、必ずしも内生的とは言えません。お世辞にもデマンドプル型インフレ(需要の強さによって引き起こされるインフレ)とは言い難く、そこに金融引き締めを講じる必要性は乏しいように思えます。 そうした観点から筆者は引き続き追加利上げは10月であると予想します。ただし為替がさらなる円安となった場合などは名目賃金の強さを根拠に日銀が7月を選択する可能性があるでしょう。
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