景気後退なのにマイナス金利解除へ? その「後」の金融政策はどうなる?
内閣府が発表したGDP(国内総生産)速報値は、2期連続のマイナス成長となりました。日銀の金融政策への影響はあるのでしょうか。第一生命経済研究所・藤代宏一主席エコノミストに寄稿してもらいました。 【写真】日経平均なぜ3万円超え? 4つの視点から株価急上昇の要因を考える
マイナス金利解除なら日銀はどう説明する?
2023年10~12月期実質GDPが前期比▲0.1%と2四半期連続でマイナス成長となったことで、4月と予想されている日銀のマイナス金利解除に暗雲が立ち込めるとの見方もありそうです。一般的に2四半期連続のマイナス成長はテクニカルリセッション(≒景気後退)と呼ばれています。また当社の予想によれば2024年1~3月期もマイナス成長となる見込みであり、そうなれば3四半期連続のマイナス成長となります。日銀が4月にマイナス金利解除に踏み切れば、景気後退下での利上げという前代未聞の事態となります。 それでも日銀はマイナス金利解除に踏み切るでしょう。そもそも、日銀もマイナス成長は想定済みであったと思われ、それを前提に内田副総裁は2月8日に「仮にマイナス金利を解除しても、その後にどんどん利上げしていくようなパス(経路)は考えにくく、緩和的な金融環境を維持していくことになる」として、マイナス金利解除「後」の政策金利に言及したとみられます。 仮にこのまま大きな波乱がなくマイナス金利解除に至る場合、日銀が作成する想定問答は以下のような具合になりそうです。 Q:景気後退なのに利上げとは、どう解釈したらよいか? A:マイナス金利解除は経済・物価を冷やすことを目的とする金融引き締めではない。緩和的な金融環境を長く維持するための措置であり、今後も賃金上昇を伴った物価上昇を安定的に達成するために必要と判断した。なお経済成長率に関しては2四半期連続でマイナス、1~3月期もマイナス成長の可能性が高いのはその通りだが、1~3月期に関しては自動車が供給側の問題(大手メーカーによる工場稼働停止)によって滞ったという特殊要因で説明可能であり、実力ベースとは考えていない。4~6月期以降は、賃金上昇を背景に回復が見込まれる。