[特集/フリック・バルサ徹底分析 02]カンテラの質こそがバルサの強み 躍動するヤング・バルサ14人
カサド&ペドリが安定 ガビ復帰で戦力増強
中盤では昨季途中までバルサBでキャプテンを務めていたマルク・カサドが台頭し、8試合先発、2試合途中出場となっている。トップデビューは昨季29節のアトレティコ・マドリード戦で、途中出場でピッチに立っている。最終的にラ・リーガ2試合、CL2試合の出場だったが、いずれも交代出場でプレイ時間は短かった。 今季のカサドは違う。新指揮官であるフリックの信頼を得て、開幕戦にダブルボランチの一角で先発すると、そのままポジションを得て出場を重ねている。身長172センチで高さがあるわけではなく、運動量が豊富で小回りが利くタイプ。次のプレイを読む能力に優れ、ボールがこぼれそうなところにスッと現われ、相手が対応する間もなくダイレクトでボールをさばく。 シーズン当初はこのカサドとマルク・ベルナル(カンテラ出身の17歳)が中盤でプレイしていたが、ベルナルは第3節ラージョ戦で左ヒザ前十字靭帯を断裂して長期離脱となった。その後はカサドとペドリのコンビで中盤を構成することが多いが、両者はプレイスタイルが似ていて波長が合っている。 説明不要のペドリは21歳ですでにラ・リーガ出場100試合を超えているチームの中心選手である。バルサのカンテラ出身ではないが、プロ契約していたラス・パルマスから17歳のときにバルサのトップチーム入りし、以来ずっと試合に出続けている。 ペドリの技術力、アジリティは世界屈指で、プレスを受けても余裕を持ってかわせる。むしろ、相手が飛び込んで来るのを待っていて、冷静に逆を突く。そのプレイスタイルはバルサにマッチしていて、カンテラ出身者が多い今季は11試合先発、2試合交代出場で3得点1アシストとコンスタントに活躍している。 首位をキープするバルサだが、第3節ラージョ戦は先制されて追いかける展開になった。そうしたなか、58分に同点弾を決めたのがペドリだった。自陣のセンターサークル内でボールを持つと、ペドリは前を向いてドリブルでボールを運ぶ。相手がジリジリとラインを下げると、絶妙なタイミングで左サイドのハフィーニャにパスを出し、自分はゴール前へ。そこにハフィーニャから折り返しのパスが出され、ワントラップでボールを足元に収めたペドリが左足で決めたゴールだった。 チャンスは逃さず、確実に仕留める。攻撃を組み立てるだけでなく、そうした決定力もある。さらには、攻撃から守備への切り替えも早く、ボールを奪う力もある。これはペドリだけではなく、カサドにも当てはまる。バルサの中盤でプレイする選手は“潰し”が早く、マイボールにしたあとの球離れも早い。そのため、相手に息を突く暇を与えない連続攻撃が可能となっている。 これらのメンバーに加えて、中盤には右ヒザ前十字じん帯断裂および半月板損傷から復帰したガビもいる。いまはまだ3試合に交代出場しただけ。しかも、3試合ともペドリに代わってピッチに立っているが、ガビとペドリはパスワークで会話できるのではないかと思えるほど相性が良く、本来なら一緒にプレイさせたいところだ。 勝利にどん欲なガビは運動量が豊富で、献身的に動いて攻守両面で数多くボールに絡む。ハードワークできて攻撃を組み立てることができるガビのコンディションが戻ってきたなら、バルサはさらにチーム力がアップすることになる。