東京五輪はもう止まらない?!巨額放映権料払う米NBC幹部が問題発言 「人々は開会式が始まれば問題(新型コロナ)を忘れ17日間を楽しむだろう」
ただ、もう五輪開の中止は不可能との見方は、世界的にも広がっており、CBSニュースも「東京五輪が中止?それはありそうにない。これが理由だ」との見出しを取って経済的な観点からの現状を報じた。マサチューセッツ州スミス大学でスポーツビジネスの分析を専門とする経済学者のアンドリュー・ジンバリスト氏は、「開催中止のための保険があるが、基本的に、おおよそ50億ドル(約5500億円)になると考えられる。中止になれば、2年ごとに五輪を開催することを主要業務とするIOCの存在自体を脅かすことにつながる」と指摘。 ジンバリスト氏の調査によると、日本は、これまで過去の五輪で最高額となる350億ドル(約3兆8500億円)を投入しており、「それを投げだすことは難しい。300億ドル(約3兆3000億円)、350億ドル(約3兆8500億円)を費やして、パッと五輪が消えてしまうことはとても決まりが悪い」とした。 また同氏は、「開催都市の契約は、結果について都市側に責任を負わせながら、五輪開催による利益をIOCに提供する一方的なものとなっている。一方で、東京大会が中止となった場合、スイスの裁判所で『IOC対日本』の訴訟が起こればイメージが悪化する可能性があることから、例えば新型コロナの感染拡大の再発で、日本が中止を余儀なくされた場合、IOCが法的措置に持ち込む可能性は限りなく低いだろう」とも分析した。 スポーツ法の専門家でオーストラリアのメルボルン大学教授のジャック・アンダーソン氏は「困難を抱えた東京五輪が、将来大会を主催する各都市に対して、事業面、財政面、法的負担などの問題を熟考させるような影響を与え続けていくことになることに疑いはない。IOCの運命も同じでローザンヌに本拠を置く組織だけでなく、スポーツ界全体に広範囲な影響を及ぼしかねない」と問題提起した。 同メディアは、これらの有識者の意見を引用する形で、すでに投じられている巨額の財政責務と、IOCの強大な影響力を考えると、「新型コロナの悪化状況を度外視して、計画通りに五輪を進めることは事実上、もう疑う余地はない」と結論づけた。 そして記事を「五輪批評家たちが“すでに大会を中止するには遅すぎる”と語っている中で、日本は、五輪が最高のものとなることを期待し、一方で最悪のことにも備えている」とまとめた。国民の安全、安心を無視して東京五輪開催に突き進む動きを止められないのであれば、無観客開催を含め、感染拡大をできる限り抑える施策に期待するしか手はないのかもしれない。