ニトリ、メルカリも 企業が支援する給付型奨学金が増加 1.6万種類から、もらえるものを探す方法は?
奨学金を活用して、留学と大学院進学を実現
これまで17件ほどの給付型奨学金を受けてきたという学生に話を聞きました。現在、理系の私立大学の大学院博士課程に在籍している内藤健さん(仮名)です。内藤さんが奨学金の利用を始めたのは大学2年の時。家計が急変し、卒業の見通しが立たなくなったことがきっかけです。学費と生活費を工面するためにアルバイトを増やしましたが、学業に支障をきたし始め、この状況を打破したいと給付型の奨学金に応募しました。 最初に申し込んだのは、通っている大学の奨学金(約50万円×2回)です。この奨学金のおかげでアルバイトを最小限に抑えられ、その分を勉強に振り向けることができました。学部4年の時には、研究内容が評価され、学会で発表しました。 内藤さんは学部3年の終わり頃から、海外での就労問題に興味を持ち、特に研究者が海外でどのように活躍しているのかを知りたいと思うようになりました。そこで、文部科学省と企業が主催する「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」への参加を申請し、採用されました。奨学金の約200万円を受け、学部卒業後に専攻する分野の研究が最も盛んな米国の大学に留学しました。大学の研究機関や民間企業に滞在し、研究者が働いているところを間近で見ることができました。 「分野の垣根を越えて従業員が毎日楽しそうに勤務する姿を見て、視野が広がりました。留学してよかったと思います」と振り返ります。
大学院での研究が評価され、貸与型奨学金の返還も免除に
日本の大学院に進学後、英語力が向上したことが2度目の留学につながりました。この時は「イノアック国際教育振興財団奨学金」に申請し、約110万円の給付を受けました。また、大学院の学費を補うために「中董(なかとう)奨学会」からの給付(約100万円)も受けています。 このほか、大学院進学時にJASSOの無利子奨学金(貸与型)を借りていました。この奨学金は大学院修了時の成績と業績(学会発表や投稿論文、特許といった成果)によっては返還が免除されます。内藤さんは、学会誌に投稿した論文が評価されたことなどから、返還を全額免除されました。 「さまざまな給付型の奨学金を受給したことで、借金を抱えることなくやりたいことに挑戦できています」と内藤さんは言います。