祝!ベイスターズ日本一。「もののけ」をスタジアムに呼び込んだささやかな執念
DeNA球団史上初、ファームが日本一に!
今年、NPBの12球団の中で最も多く試合をしたチームが11月3日、今シーズン最後の最後に行われた試合に勝利した。 レギュラーシーズンが終われば、例年なら社会人野球日本選手権、みやざきフェニックス・リーグ、大学野球の秋季リーグなど、別の大会をメインで見るようになっているのだけれど、9月の半ばの時点ではセ・リーグで4位だったNPBでの贔屓チームが、どういうわけか11月にもなってまだ野球の試合をしていた。 * そこから遡ることおよそ1ヵ月、10月5日に行われたプロ野球の二軍(ファーム)の日本一を決めるファーム日本選手権を戦ったのは、福岡ソフトバンクホークスと横浜DeNAベイスターズだった。NPBのファームは、移動のコストなどを鑑みて西のウエスタン・リーグと東のイースタン・リーグとにわかれ、シーズンの終わりにはそれぞれの首位球団が1試合だけで優勝を決める。 ホークスの先発投手は前田純投手。今シーズン二軍で防御率1・95、リーグ最多勝を(中日ドラゴンズ松木平優太投手と同時に)あげ、7月に支配下登録された。対するベイスターズの先発投手は3桁の背番号を背負う庄司陽斗投手。若き先発左腕の対決。無失策のホークスは8安打するも打線がなかなか繫がらなかったが、9回のホームランで2点をあげる。対するベイスターズは3失策をしながらマイク・フォード選手の2打席連続ホームランや、スタメンマスクをかぶった益子京右選手、関根大気選手のタイムリーで6得点をあげるというベイスターズらしい野球で、球団史上初のファーム日本一に輝いた。 長年ベイスターズを指導者として支えてきた青山道雄二軍監督兼外野守備走塁コーチは、胴上げの後のインタビューで「素晴らしいことだが、我々は一軍を目指して戦っている以上、いい経験としてこれからまた一軍で活躍してもらいたい」という言葉を残した。 二軍の試合というのは、選手層の厚さがそのまま強さにならない場合も多い。俗に「一・五軍の選手」と呼ばれる、一軍と二軍を行ったり来たりする選手がいて、ほかにも調整のために一軍から下りてきたベテランなどもいる。今回のベイスターズは、まだ支配下登録されていない育成選手、それにパ・リーグ経験も豊富な大田泰示選手、メジャー経験のあるフォード選手などが加わってバラエティに富んでいた。 * いっぽうその頃ベイスターズの一軍は、10月1日、4位の広島東洋カープとの直接対決に勝利してセ・リーグの3位をほぼ手中に収め、翌日のカープの敗戦をもってクライマックスシリーズ(CS)への進出を決めていた。3年連続のCS進出は初めてのことだった。 これによって、10月12日に始まるCSファーストステージは、2位の阪神タイガースと阪神甲子園球場で戦う形になった。その後これに2戦先勝したチームが、東京ドームで行われるCSファイナルステージでシーズン首位の読売ジャイアンツと戦うことになり、1位のジャイアンツが持つアドバンテージ(1勝)を含め先に4勝したチームがCSチャンピオンとされ、日本シリーズへの出場権を得る。