Google「AI Overview」の登場でSEOは何が変わった? AIが検索順位に与える影響と今やるべきこと
この他、オンライン上での言及であったり、ウィキペディア、Google Business Profileなどもサイテーションの理解に活用されているという。そうした積み重ねの結果、そのサイトの運営者、著者のエンティティ(実体)に専門性があるかどうかをGoogleは識別し、検索表示順位に活用しているとみられる。
なお、エンティティには優先順位があり、最も有意とみられるのが運営者で、続いてがサイトだ。各記事に監修者の名前を入れるのもエンティティ証明の一種だが、現状ではSEO効果は薄いという。 ┌────────── もともとエンティティがないところへ、無理矢理エンティティを付け加えることはできません。弊社の場合、(ブログサービスの)アメブロで医療コンテンツを載せても、アメブロには医療に対する専門性はありませんから、検索順位は上がりません。エンティティに専門性を持たせることが大事。逆に言うと、これ以外(サイトが持つエンティティと関係性がない領域)では、SEOで戦ってはいけません(木村氏) └────────── ■ 5. 被リンクを獲得する 外部サイトからの被リンク数は、検索順位決定の重要指標とされてきたが、Googleは近年、その重要度を下げているとも言われている。しかし被リンクにはまだまだ効果があり、結果としてリンクスパムが日本国内に広がっているというのが木村氏の立場だ。 ┌────────── 被リンクによるスコアは青天井です。たくさんリンクを集めるほど無限にスコアが増えていくと考えられます。また最近は、そもそもリンクがされにくい。サイト紹介はSNS等で行うのが普通なので、大半のリンクはnofollowになります。そんな中でDofollowリンクが一本付くということは昔に比べて、かなりの差になります(木村氏) └────────── また、専門性の高いサイトからの被リンクは、エンティティの識別にも使われていると推測される。たとえば、医療情報サイトに病院のWebサイトからの被リンクがつく意義は極めて大きいと考えられる。SemrushやAhrefsなどのSEO・被リンク調査ツールを使って、競合サイトを分析し、リンクを貼ってくれそうなサイトに1件1件依頼するといった地道な活動もまた必要だという。 ┌────────── そして、このSEO業界でまだスパムをやっているところがあります。競合が何かやっていそうなときは、躊躇なく通報しましょう(木村氏) └────────── ■ 6. サイテーションを獲得する サイテーションについては「トピックに対する専門性を伝える」の項で解説した通り。WebやSNSで言及され話題になれば、それがエンティティの確立につながる。 手法としてはCM放送、動画配信、イベント開催など種々あるが、単独では効果が出にくい。動画を作りイベントを実施したら、それをSNSで告知するなど、手法を組み合わせると効率が良くなるという。 ■ 7. ユーザー行動を最適化する Webサイトの構造・構成だけでなく、訪問したユーザーの行動をも検索順位の決定に使用している──。これは2023年頃からGoogleが公言するようになった説明だ。一応、関係者の間では周知の事実だったようだが、直近になってその参照比重を大きくしたのだろうと木村氏は推測する。 一般論として、情報提供を目的としたサイトなら記事を読了してもらいたいし、ECなどであればコンバージョンを獲得したい。だがそのためには、ページ表示速度が快適であったり、サイトが使いやすい、コンテンツが高品質であることが、SEOとはまた別の意味で重要である。つまりSEO目的ではなく、ユーザーの体験をいかに向上させるか追求した結果、検索順位が上がるというのが、正しい方法論だ。 ■ 8. クローラビリティ・インテキシビリティを高める Googleが2024年3月のコアアップデートに際して、サイトを巡回する「クロール」の回数、さらには検索データベースの元とも言える「インデックス」の量を減らす方針を明言した。 Google検索にサイトやページが表示されるには、URLをGoogleに発見してもらい、ロボットにクロールさせ、インデックスされるという順序を踏む。しかし、Google側にはリソースを節約したいとの思惑があるとみられ、発見したURLをクロールするか、クロールしたサイトをインデックス化するかの判断にAI・機械学習技術を持ち込んでいるとみられる。