「頑張っても髪が生えない」生まれつきの症状に悩む女性 治療費の総額は大学の授業料4年分「さすがに親に申し訳ない」クリニック通いを辞めた日
── 高校を卒業するころにはクリニックも辞めることに。 memeさん:これ以上、親にお金を出してもらえない。申し訳なさすぎる。保険適用ではなかったので金額があまりに莫大で、1年通うにも何百万円とかかるんですよ。それを何年も続けさせてもらって、シャンプーやサプリとか全部合わせると、トータルで大学4年間通うくらいのお金は出してもらったと思います。親は「お金はこういうときこそ出さなきゃね」と言ってくれましたが、さすがにもう…。
クリニックではスタッフさんともよく話をしました。「毎回、親に負担を掛けるのがつらい」「これだけ頑張っても生えない」と言ったら、一緒に泣いてくれたこともありました。ただ、クリニックを辞めてピタッと治療をしなくなったわけではなくて、大学生のころは自宅から通いやすい別のクリニックを紹介してもらうことに。よく効く成分が入った治療薬があると聞いて新たなクリニックにも通ったし、飲み薬や注射もやってみました。
でも、結局、少しは増えたりするんですけど、憧れていた髪の量というか、生えそろうというという状態にはほど届く、治療をすることでより髪の毛を気にしてしまって精神的にもつらくなってきたんです。 大学生のころはいちばん薄かったし、大学構内を歩くのも本当に嫌でした。鏡に映る自分の姿を見るのもしんどかったですね。
■彼が「この髪型可愛いって」 ── つらい思いをされるいっぽうで、大学では今の旦那さんとの出会いがあったそうですね。
memeさん:同じ学科、同じサークルだったので自然と仲良くなりました。私は特に興味があったわけじゃないんですけど(笑)、彼が気持ちを伝えてくれたんです。友達に相談すると、「めっちゃいいじゃん!」って。私も今までそういう機会もなかったし、異性として見られているんだ…!っていう初めての感覚もあっておつき合いをしてみることにしました。 ── おつき合いは順調でしたか? memeさん:順調でしたが、つき合ってしばらくは絶対に帽子を被ってました。自己肯定感の無さというんですかね。髪の毛以外のことは勉強を頑張ったり、いい友達ができたり、自信を持つこともできましたが、見た目の問題はずっと自信がない。落ち込む原因にもなって、彼とうまくしゃべれないことがありました。