「頑張っても髪が生えない」生まれつきの症状に悩む女性 治療費の総額は大学の授業料4年分「さすがに親に申し訳ない」クリニック通いを辞めた日
生まれつき髪が少なく薄い症状に悩まされていたmemeさん。中学3年時に「びまん性脱毛症」と診断され、高校3年間はクリニック通いを続けたものの、保険が適用されない治療費はあまりに膨大で── 。(全3回中の2回) 【写真】「初めてはボブ」クリニック通いを辞めてウィッグに出会ったmemeさんなど(全14枚)
■プリクラは必死にスタンプで隠して ── memeさんの髪の毛は、子どもの頃から薄くて地肌が見える。縮毛で髪質が柔らかく、少ない毛量がフワッと広がり、髪の毛に対して人の視線を感じることもあると伺いました。中学3年生の終わりにクリニックを受診すると「びまん性脱毛症」と診断されましたが、その後、遺伝子疾患である「先天性乏毛症」(せんてんせいぼうもうしょう)の可能性もあると考え始めたそうですね。まず、中学3年生のときに「びまん性脱毛症」の治療をはじめましたが、どんな治療をしていましたか?
memeさん:いろいろありますが、食事療法では朝、昼、晩と食べたものの写真を撮ってクリニックに送るんです。酸性とアルカリ性のバランスが大事だと言われ、野菜やビタミン、タンパク質をもっと摂りましょうとか、炭水化物が多いですよ、などのアドバイスを受けます。お風呂は半身浴で入り、できるだけ腹式呼吸をするように言われました。専用のシャワーキャップを被って発汗させて汚れを出し、同じく専用のシャンプーで洗った後にトニックを塗ります。お風呂から出たら電気みたいなものを頭にあてて、トニックの浸透をよくして。夜だけではなく朝もやったほうがいいと言われ、とにかくやることがたくさんありましたね。あと、出されたサプリもめちゃくちゃ飲んだし、髪の毛を生やすための生活習慣を全部やらないといけなかった。いつも髪の毛のことを考えていてしんどかったですね。
── 毎日となると、なかなかハードそうです。 memeさん:お菓子もあんまり食べない方がいいとは言われていましたが、「もう無理…!」となったときは食べちゃって。いちおう、それも写真を送って。 ── クリニックにはどれくらい通われましたか? memeさん:片道1時間の移動で週に1、2回。2年通いましたが結局、生えなかったですね。3年目は通うのも大変だから家でやりましょうと。クリニックにはシャンプーやトニックなど買いに行って、全部で3年くらいクリニックに費やして。多少増えたような気もしましたが、全く満足するような結果ではなかったです。それどころかさらに薄くなってしまったような…。当時、プリクラが流行っていて、友達に誘われたらノリで撮りましたが、自分の姿を見て「めっちゃ薄いわ!」って実感するんです。スタンプで髪の毛をどうにか隠してました。