目まぐるしく変わる戦術 張本智和vsオフチャロフ、世界トップレベルの攻防を徹底分析<卓球・WTT男子ファイナルズドーハ2023>
第2ゲーム 11-8
<サービス> ミドルへのロングサービス中心 <レシーブ> フォア~ミドルへ ショートサービスからの展開だと決め手に欠けると判断した張本は、ミドルへのロングサービスを中心とした配球へと大胆に切り替える(5/9本)。 強烈な両ハンド攻撃を持つオフチャロフだが、ミドルへのロングサービスに対してはバックハンドで持ち上げることしかできず、張本が優位な形でラリーを開始する。 第2ゲームのサービス時得点率は約56%(5/9本)とやや上昇した。 張本が第2ゲームを奪取できた大きな要因はバックではなくフォア~ミドルへとレシーブコースを変更したことだと考えられる。 オフチャロフは得意のバックドライブで攻めることができず、張本が優位な形でラリー勝負へと持ち込むことに成功した。ラリーの精度でやや上回った張本のレシーブ時得点率は60%(6/10本)となり、11-8で第2ゲームを取り返した。
第3ゲーム 5-11
<サービス> 全面にショートサービス+ミドルへのロングサービス <レシーブ> フォア~ミドルへ ミドルへのロングサービスを狙い打たれることを警戒した張本は、第3ゲームでは全面へのショートサービスを中心にロングサービスを織り交ぜる戦術へと変更する。 オフチャロフはショートサービスに対して台からギリギリ出る長さのツッツキレシーブを選択。張本はこのツッツキレシーブを強く攻めることができず、持ち上げたボールを狙われてしまう。 サービス時得点率は25%(2/6本)と一気に低下。第3ゲームを5-11で奪われ、後がなくなってしまう。
第4ゲーム 11-4
<サービス> フォア前にショートサービス+ミドルへのロングサービス <レシーブ> フォア~ミドルへ あとがなくなった張本はオフチャロフのレシーブコースを限定させるためにフォア前へとサービスを集める。 フォア前のボールに対してもバックハンドで対応するオフチャロフ。フォアからミドルへとレシーブしてしまうとストレートを狙われてしまうため、バックへとレシーブを集めざるを得なくなる。 バックへのレシーブは約67%(4/6本)となり、このレシーブを狙い撃ちした張本がラリーを優位に進める。サービス時得点率は約57%(4/7本)と上昇した。 既にレシーブ時も優位な展開を進めていたことから、11-4で張本が第4ゲームを取り返し、フルゲームへと持ち込んだ。