【F1】角田裕毅のこれまで見せたことのない姿 どのドライバーよりもタフなレースを戦った
【リカルドに対しても多くを語らず】 そのことは、角田自身もよくわかっている。 「今日はスタートでポジションを3つ落としたのが一番のポイントだった。その後はセーフティカーを待つことしかできませんでしたし、セーフティカーが出なかったのでどうすることもできませんでした。スタートでポジションを落としてしまった自分のせいですから」 ピットストップ直後にダニエル・リカルドとのポジション交換がスムーズにいかず、引っかかるような形でタイムロスする場面もあった。しかし、これが彼のラストレースになるということもあり、ほかにも言いたいことはあったのだろうが、角田はぐっと飲み込んで「自分の責任かなと思います」というひと言で締めくくった。 着替えたばかりのTシャツは、あっという間に全身が汗でびしょ濡れになっていた。 エースドライバーとして、チームリーダーとして、自分の速さと強さでこのチームを引っ張っていかなければいけない。 会見場をあとにする背中が、その自覚を物語っていた。
米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki