ルクレール、”チームオーダー無視”のサインツJr.を批判「優しくすると、いつも損をするんだ!」
F1ラスベガスGPでフェラーリは、カルロス・サインツJr.が3位、シャルル・ルクレールが4位と、1-2フィニッシュを決めたメルセデスに次ぐポジションを確保した。 【リザルト】F1第22戦ラスベガスGP決勝レース順位結果 しかしその裏でルクレールは、サインツJr.がチームオーダーを無視したとして憤慨。フィニッシュ後に無線でその怒りを爆発させた。ただチーム代表のフレデリック・バスールは、このことは大きな問題にはならないと考えているようだ。 タイヤに苦しんでいたサインツJr.は、27周目を終えた段階でピットに飛び込もうとした。しかしタイヤ交換の準備は整っておらず、チームはサインツJr.にステイアウトするよう指示し、1周後にピットに入った。 ルクレールはその3周後にピットに入り、サインツJr.のすぐ前でコースに復帰することになった。ただサインツJr.はすぐにルクレールを追い抜くことになった。 この時チームからサインツJr.へは、ルクレールを抜かないようにという指示が飛んでいた。つまりサインツJr.は、チームの指示を無視したわけだ。そしてそのままフェラーリのふたりは走行を続け、後にレッドブルのマックス・フェルスタッペンをオーバーテイク。結局3位サインツJr.、4位ルクレールという順位でフィニッシュした。 ルクレールはレースをフィニッシュした後無線で、担当エンジニアのブライアン・ボッツィに自分の気持ちをハッキリと伝えた。 以下がそのやりとりである。 ボッツィ(以下BB):ピックアップ(タイヤかす)をしっかり拾うように頼むよ ルクレール(以下CL):ああ、君の望むことはなんでもやるよ。いつもの通りだ BB:シャルル、君は自分のすべき仕事をした。OKだ。ありがとう CL:うんうん、そうだ。僕は自分の仕事をしたけど、優しくすることでいつも自分が損をしている。いつもだよ。優しいっていうよりも、ただ礼儀を守っているだけなんだ。 BB:シャルル…… CL:黙らなきゃいけないのは分かっているけど、いつも同じことばかりだ。なんでことだ! BB:分かったよ。でもとにかく、君はチームのために正しいことをした。ピックアップを拾うのを忘れないようにね CL:ああ、必要なものはなんでも拾うよ。ちくしょう、ちくしょう……そしてラジオがオンだ。ごめん。これは僕のせいだ。 CL:最初のスティントは僕のせいだ。僕もひどいドライブだった。 バスール代表は、この件については議論しているところだとしているが、ふたりのドライバーの間で問題になることはないだろうと語った。そしてチームとして、チームメイト同士で争うことで無駄に時間を失わないように務めたが、その一方でルクレールも、タイヤをもっとゆっくり温める必要があったと語った。 またルクレールの無線での厳しい言葉は、おそらくレースの全体像を把握していなかったためであり、その発言を避けるのは難しい状況だったとも説明。サインツJr.がピットに入れなかったのは、後方のトラフィックとの関係によるものだったとも明かした。 「私はまったく心配していない。繰り返しにはなるが、これはいつも同じ話だ。彼らがコメントするかどうかは問題ではない」 そうバスール代表は語った。 「彼らは(スローダウン)ラップでコメントしたが、常に全体像を把握しているわけではない。後で話し合うつもりだ。問題はないだろう」 「争いは避けなければいけないが、この段階ではスティントの開始時にはマネジメントするという側面に立つ必要がある。カルロスはすでにその時、スティントの3周目か4周目だったはずだ」 「その時の状況は、全員にとって本当に難しいという事実が大きいと思うが、今夜話し合う。問題はないだろう」 「ピットストップについてカルロスと話し合っていた時、彼は(リアム)ローソンか角田(裕毅)の後ろに戻ってしまう位置にいた。彼はピットストップしたがっていたが、我々は彼をコース上に留めておきたいと説明していたんだ」 「こうやって話し合っていたが、結局は順位を入れ替えねばならず、少し混乱した。でも彼らはマシンに乗っている時には、レースに対する独自のビジョンを持っている」 なお当時の状況を振り返ると、サインツJr.がピットストップしようとした27周目の時点では、その19秒後方に角田がいたことになる。つまり、サインツJr.がその時点でピットストップし、コースに復帰した時には、角田の後に引っかかってしまう可能性もあった。チームはそのために1周ピットストップを遅らせたということだろう。 また今回のようにタイヤを使うのが難しいレースの際には、スティントの最初は徐々にペースを上げていき、ゆっくりとタイヤ発熱させることができれば、タイヤを長持ちさせることができるとされている。もしルクレールのピットアウト後、サインツJr.を後ろに留めておくこととなれば、サインツJr.はそれにより明らかにタイムを無駄に失うことになっただろう。一方ルクレールとしては、サインツJr.を抑えようとペースを急激に上げていたら、レース終盤に大きく苦しむことになったかもしれない。まさにルクレールが無線で後悔を口にした、”最初のスティント”のようにだ。 最初のスティントでルクレールは、先頭を走るジョージ・ラッセル(メルセデス)に激しくプレッシャーをかけた。しかしその後急激にペースダウンし、ポジションを落とすきっかけとなったのだった。
Jake Boxall-Legge, Filip Cleeren