【F1】角田裕毅のこれまで見せたことのない姿 どのドライバーよりもタフなレースを戦った
【ライバルと同じ戦略では勝てない】 幸いにもアウト側にいた2台がターン1を曲がりきれず、コースオフしたためにポジションを取り戻すことができ、ターン7までカルロス・サインツ(フェラーリ)の猛攻もしのぐことができた。しかし、代わりにセルジオ・ペレス(レッドブル)にインに入られ、ターン9からターン10で抜かれて3つ順位を落とすことになってしまった。 8番手のままポジションを維持できていれば、その後フェラーリ勢2台は抑えきれないとしても、入賞のチャンスは十分にあった。前のフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)やニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)と戦略的に戦えた可能性もあった。 しかし、スタートで入賞圏外に弾き出されたことで、角田のレースは一気に苦しくなった。 「明日は厳しい戦いになると思います。ほかのチームはけっこう速いと思うし、ハースはコンストラクターズ争い的にも抑えたいところなので、最低でも彼らの前で終わりたい。ですけど、うしろにも何台か速いクルマがいるので、できるかぎりのことをやっていきたいなと思います」 予選を終えた段階で、角田はそう語っていた。 金曜フリー走行のロングランが決してよくはなかったことに加えて、予選でもQ3に行けたのは奇跡的と言えるくらい厳しい状況だったことを吐露していた。 「悪くはなかったですけど、簡単ではなかったですね。過去3戦と同じで、Q3に行くのもかなり難しい状況でした。正直、ハースとかウイリアムズはかなりいいクルマに仕上がっていますし、僕らよりもいいクルマなのかなと思います」 だからこそ、ライバルと同じではなく、違う戦略で攻める。なぜなら、入賞できなければ11位でも12位でも13位でも意味がないからだ。 基本路線として、第1スティントのミディアムを可能なかぎりマネージメントして走り、長く引っ張る。そしてセーフティカーが出たところでピットインして、その恩恵を享受する。 過去すべてのレースでセーフティカーが出ているシンガポールGPだけに、それがセオリーだった。